ICT養殖マサバ初出荷 茨城県実証事業 高品質に期待 海洋高生ら管理

約1年育成した養殖マサバを取り上げる関係者たち=ひたちなか市和田町の那珂湊漁港

茨城県は15日、情報通信技術(ICT)を活用して那珂湊漁港(同県ひたちなか市)のいけすで養殖してきたマサバを初出荷した。いけすを管理してきた県立海洋高(同市)の水産クラブの生徒や冷蔵冷凍流通大手の横浜冷凍の社員、県職員など関係者約20人が協力してマサバを取り上げ、県内の飲食店26店に活魚や鮮魚として500匹を届けた。県は流通試験のため、この日のマサバを含め計2000匹を飲食店や小売店などに無料で提供する。

関係者は同日午前8時、同漁港でマサバの取り上げを開始した。参加した生徒たちは魚をいけすから取り出し、鮮度を保つための処理を行った。1年の丸亀來毅さん(16)は「魚が好き。養殖から出荷まで参加できてうれしかった」と笑顔を見せた。初出荷の様子を見学したカスミ商品本部鮮魚担当、坂倉康広さんは「思ったより非常によく仕上がっている。ぜひ店舗で取り扱いたい」と期待を寄せた。

県内の地魚を中心に取り扱う飲食店「魚旬 がんこ家」笠原店(同県水戸市)には活魚と鮮魚数十匹が届けられた。同店の橋本健一料理長は「赤身がきれいでかなり大きく育っている。活魚を中心の料理を提供したい」と話した。

県は実証事業として、昨年11月から同漁港内のいけすでマサバの稚魚1万300匹を養殖。天然ものに比べ、アニサキスの寄生するリスクが低く、生食用としての利用が期待されている。来年1~2月には小売店向けに約1500匹が出荷され、店頭販売される。

養殖マサバの活魚を使った「お造り」=水戸市笠原町の「魚旬 がんこ家」笠原店

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