嘉手納町民の「住み続けたい」願いの強さに感じた古里への思い【今週の沖縄タイムス+プラスみどころ】

 大東建託が13日発表した「住み続けたい街」ランキングで、九州・沖縄8県188自治体の頂点に輝いた嘉手納町。この地に「住み続けたい」と願う居住者の割合が九州・沖縄一高かったことを示しています。

街中に鳴り響く戦闘機のごう音

 私が、発表翌日の14日昼に嘉手納町を訪ねると、米軍の戦闘機のごう音が街中に響いていました。大東建託が、同じ調査対象者に住みやすさを尋ねた「住みここち」ランキングでは、嘉手納町は県内6位と順位を下げます。 

商店街のロータリー周辺には2時間無料の駐車場が多くある=12月14日、嘉手納町嘉手納

 町面積の約8割を米軍嘉手納基地が占める嘉手納町。戦前に住んでいた土地が米軍基地に接収された住民も多く、追いやられた人たちが、少しでも古里の近くにいたいと、残された狭隘(きょうあい)な土地に寄り集まるように家屋を建てた歴史を持ちます。

老朽化した住宅が集まる「二番地地区」=2019年、嘉手納町嘉手納

 戦後の混乱期だったこともあり、1軒の家で住民、建物所有者、地主がそれぞれ違うなど権利関係が複雑に入り組み、そのまま現代に至っているケースも少なくありません。加えて道路も狭く、建物が老朽化しても、建て替えやリフォームが難しいという課題を抱えています。

住み続けたい、でも住めない訳

 元嘉手納町の担当記者だった私。町内で、よく「住みたくても住む場所がない」という出身者の声も耳にしました。

町役場から車を5分も走らせれば絶景に出合える=12月14日、嘉手納町水釜

 米軍基地でない土地がそもそも少ない上、残されたわずかな土地も利活用しにくく、住む場所が限られる嘉手納町。基地周辺では、あまりにひどい騒音を理由に住民が引っ越しを望み、国が買い取って空き地となっている国有地も目立ちます。今、住んでいる町民は、激しい騒音に耐えてでも、町に残ることを選んでいるのです。  

 今回のランキングで明らかになった「住み続けたい」という町民の願いの強さの裏に、古里、嘉手納という地への並々ならぬ愛着、そして複雑な思いを感じざるを得ません。

宝くじ購入1位の県の願掛け伝説

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 今週のデジ編チョイスは篠原知恵が担当しました。

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