がん死亡率全国ワースト 青森県、19年連続

 人口10万人当たり何人ががんで死亡したかを表す青森県の75歳未満年齢調整死亡率が、2022年は84.0となり、19年連続で47都道府県中最も悪かった。国立がん研究センター(東京)が15日までに公表した。男性の数値は改善したものの、女性は2年連続で悪化した。大腸がんの死亡率が17年ぶりに全国ワーストを脱するなど、部位別の順位が改善する動きも見られるとして、県は検診や生活習慣見直しなどの啓発を続けていく考えを示した。

 男女計の死亡率84.0は、21年に比べ2.9ポイント改善し、同センターが統計を公表している1995年以降では最も低くなった。全国平均の67.4と比べると、16.6ポイント悪い。全国平均との差は21年(19.5ポイント)より縮まったが、依然として大きな開きがある。

 男女別では、男性が101.3(21年比6.9ポイント改善)、女性が69.4(同1.2ポイント悪化)。男性は19年連続、女性は11年連続で、都道府県別順位が全国ワーストだった。

 主要部位別では、肺がんと子宮がんの死亡率が21年より悪化。胃がん、大腸がん、肝がん、乳がんは改善した。

 都道府県別順位は、肺がんと乳がんが21年に引き続いてワースト(47位)、子宮がんは21年の39位から47位に順位を下げた。一方、胃がんは45位、大腸がんは46位、肝がんは31位で、いずれも21年の47位から順位が改善した。大腸がんは06~21年の16年連続で、全国ワーストの状況だった。

 県がん・生活習慣病対策課の担当者は「改善が見られる部位がある一方、全体では全国とまだ開きがある。全国に比べて高い喫煙率など生活習慣に関わる分野に課題があり、重点的に対策を講じる必要がある。検診を受けやすくする環境づくり、がん治療の体制整備と合わせて、対策に引き続き取り組みたい」と話した。

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がん年齢調整死亡率 75歳未満を対象に高齢化の影響を排除し、地域間の年齢構成のばらつきによる影響が出ないよう、統計上の調整をして算出する。現実の年齢構成で計算すると、高齢者が多い地域が高めに出る傾向があることから導入された。人口動態統計のがん死亡率より正確に死亡率の年次比較をすることができる。

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