忘年会、青森県内で復調の兆し コロナ5類後、初の年末/慎重企業も依然5割

コロナ禍明けの忘年会シーズンを迎え、にぎわいを見せる繁華街=9日午後8時半ごろ、青森市本町

 忘年会シーズンに入り、繁華街の飲食店や宴会場は繁忙期を迎えている。新型コロナウイルスが今年5月に5類に移行したことで、宴会自粛ムードが緩和され、青森県内のホテルなどでは企業の忘・新年会等で利用する団体客が戻りつつある。信用調査会社・東京商工リサーチの調査によると、今シーズンの県内企業の忘・新年会実施予定率は48.1%。前年に行った同様の調査と比べ18ポイント近く回復しており、県内でも宴会解禁の動きが広がってきている。

 「金曜、土曜の週末を中心に、宴会場はもう空きがない状態」。アートホテル青森(青森市)の上村敦支配人は、集客の回復を実感する。2020年3月から宴会場の利用を開始した同ホテルでは、今年11、12月の売り上げが前年比約2倍のペースで推移しているという。

 弘前市や青森市、八戸市など各地でホテル、飲食店などを展開するイマジングループ(本社弘前市)も、宴会全体の売り上げは前年比2.5倍と好調。同社担当者は「昨年よりだいぶ集客は戻ってきている」とした上で「宴会の数は増えてきているが、利用する人数規模は小さくなってきているように見える」とも話す。

 団体の宴会が復調の兆しを見せる一方、東京商工リサーチが今年10月に県内企業54社を対象に行った調査では、今シーズンの忘・新年会を「実施しない」企業が51.8%と過半数を占めた。そのうち、22.2%の企業が「コロナ禍前は実施したが今回は実施しない」と回答した。3年以上続いたコロナ禍の影響が尾を引き、依然として慎重姿勢の企業もあることがうかがえた。

 実施しない理由としては「参加に抵抗感を示す従業員が増えた」が最多。次いで「忘・新年会に関わる費用を削減」「開催ニーズが高くない」などが続いた。

 同社青森支店の高坂健二支店長は「コロナ禍を経て宴会を実施しない流れが定着し、これまでの社内文化そのものが見直されている可能性がある。忘・新年会を含め、会社行事を簡素化する動きがあるのでは」とみている。

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