「爺婆の店」がギャラリーに チェーンソーアートの元世界チャンプが継ぐ、和歌山・田辺市龍神村

建物内では20日まで、「辰展」として城所ケイジさん(左)の作品を展示している(和歌山県田辺市龍神村柳瀬で)

 和歌山県田辺市龍神村柳瀬に拠点を置く有限会社「チェンソーアート・ジャパン」は、柳瀬の国道425号沿いにある産品直売所だった建物を引き継ぎ、「ギャラリー&直売所」としてオープンした。同社取締役でチェーンソーアートの元世界チャンピオン、城所ケイジさん(56)による作品展を不定期で開くほか、来春からは希望者に店舗やギャラリーとして貸し出す予定という。

 この建物はもともと、地元の高齢者らでつくる「村の爺婆(じじばば)会」が産品直売所「村の爺婆の店 まあはいらんせ」として運営していたが、3年ほど前から店は閉めていた。

 建物の広さは約20平方メートル。外壁や内装の色を塗り直すなどして改装し、13日にオープンした。まずは20日まで、城所さんによる「辰(たつ)展」を開き、紀州材のスギから彫り出した龍やタツノオトシゴなどの作品約20点を展示。中には、高さ約2メートルある彫刻や、直径80センチの丸太から彫り出した作品などもある。

 また、同社がSDGs(持続可能な開発目標)事業として育てたパイナップルやパパイア、マンゴーなどの苗や、龍神村の「豆んと森珈琲」によるコーヒー豆「ドラゴンウォッシュロースト」も販売している。時間は午前11時~午後4時。

 今後はテーマを変えて、交流サイト(SNS)などで情報を発信しながら不定期で城所さんの作品展を実施していく。来春以降は店舗やギャラリーとして貸し出す予定だが、当面は地元のアーティストなどを対象に考えているという。

 城所さんは「龍神村の玄関口にあるこの店が閉まっているのは寂しい。地域の活性化に向けて、自分たちで何ができるかを考え、建物を譲り受けた。自分だけでなく、地元のアーティストの活動も知ってもらえるような、地域の情報発信の拠点になればと考えている。ゆくゆくは、実験的に龍神村で店を出してみたいという人や、事業に挑戦したいという人にも活用してもらえたら」と話している。

国道425号沿いに新しくオープンした、チェンソーアート・ジャパンのギャラリー&直売所(和歌山県田辺市龍神村柳瀬で)

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