世界最強・イクイノックス引退式が執り行われる…ルメール「フィジカル、メンタルすごかった」

12月16日、中山競馬場で最終レース終了後に、イクイノックス(牡4・美浦・木村哲也)の引退式が行われた。同馬はG1・6連勝、今年はロンジンワールドベストレースホースランキングで“世界1位“を獲得。総獲得賞金は約22億円で歴代1位となり、現役最強のままジャパンカップを最後に引退、種牡馬入りとなった。

注目の種付け料は、まさかの2000万円。三冠馬ディープインパクトの初年度価格1200万、父キタサンブラックの500万円と比較しても、大きく超える値付けとなり、馬産地の期待の高さが伺える。引退式には多くの競馬ファンが残り、イクイノックスの最後の姿を目に焼き付けた。今後は社台スタリオンステーションで種牡馬として、その能力を受け継いでいく。

木村師「凝縮された2年間」

イクイノックス引退式 (C)Yushi Machida

●木村哲也調教師
ーー世界ナンバーワンの馬を管理されてきて、おそらくこれまでたくさんの喜びや苦労や、いろんなギフトがイクイノックスからあったと思います。そんな日々を振り返っていかがですか。
「本当に夢の中という言い方だったり、夢中でやってきたりとか、そんな凝縮された2年間でした」

ーー今日、引退の日を迎えました。先ほどイクイノックスの姿もご覧になっていましたが、今のお気持ちいかがですか。
「本当にホッとしています」

ーーイクイノックスの子どもたちにどんな期待をされてますか。
「私事にはなるかもしれないですけど、イクイノックスの子供で東京2400のG1に、またスタッフと共に戻ってきたいなと思ってます」

●C.ルメール騎手
ーー騎手人生において、ルメール騎手にとってイクイノックスはどんな馬ですか。
「ジャパンカップの時、レース終わってからスタンド前に行った時、ファンの反応を見たらすごく感動しましたね。やっぱりイクイノックスのパフォーマンスは本当にすごかったので、僕も信じられないパフォーマンスだと思った。イクイノックスは最初から能力を見せてくれました。絶対スーパースターホースになれると思いました。やっぱりフィジカルとメンタルはすごかったです。レースごとに良くなってきた。みんなのおかげで、素晴らしい馬になりました。世界一になりました。やっぱりイクイノックスの走り方とパフォーマンスを忘れられないです」

ーー子供たちがこれから生まれてきますが、騎乗したいですか。
「もちろん騎乗したいです。彼の子供たちにもちろん乗りたいです」

ーーもし乗ったとしたら、また世界ナンバーワンを目指しますか。
「期待しています。アーモンドアイとイクイノックスの子供は、多分また世界一になれます」

●米本昌史氏(シルクレーシング代表)
ーーイクイノックスが引退の日を迎えました。今の率直なお気持ち、いかがですか。
「ジャパンカップの優勝からまだ3週間ということだったんですけども、あっという間にこの日が来てしまったなということと、本当に馬に感謝の気持ちでいっぱいです。

ーー競走馬として世界ナンバーワン、そして種牡馬としても最大級の評価を受けています。その評価についてはどんなお気持ちですか。
「競走成績含めて、フィジカル、メンタル、全ての評価と、これからの期待ですね。全てを本当に最大限評価いただけたなということで、本当に有り難く思っています」

ーーイクイノックスの子どもたちについては、どんな期待をされてますか。
「順調に行けば、4年後にはまた子供たちが出てくると思うんですけれども、本当に楽しみでしかないです」

ーーイクイノックス関係者を代表して
「本日は肌寒いところイクイノックスの引退式にお集まりいただき、誠にありがとうございます。また、この晴れやかな舞台をご準備いただきましたJRA、中山競馬場の皆様にも御礼申し上げます。イクイノックスは2年余りの競走生活でございましたが、2歳・3歳の成長期はレース後の疲れによる反動も大きく、馬の体調を見ながらのレース選択となりました。そのような中、ジオグリフ・ドウデュース・パンサラッサなど本当に沢山の良いライバルにも恵まれ、切磋琢磨する中で天皇賞・秋、有馬記念とG1を2つ勝つことができました。4歳となりました今年、ドバイシーマクラシックでは世界の強豪を従え完勝、一躍世界のトップホースとなりました。帰国後、宝塚記念を優勝した後、ノーザンファーム天栄の方に放牧に出ました。記憶にまだ新しいですが、今年の夏というのは酷暑と言ってもいいぐらい厳しい夏でございましたが、夏負けすることなく、この馬はさらなる成長を遂げておりました。天皇皇后両陛下のご行幸啓を賜った、先の天皇賞・秋では1分55秒2というレコードタイムで走り抜け、ラストランとなりましたジャパンカップでは、レース後、想像を超えるこの馬のパフォーマンスに感極まったクリストフルメール騎手の姿がありました。この秋の完成形とも言えるこの馬の走りは、力強くしなやかで美しいものであり、見るもの全て魅了するものであったと思います。ここまで育ててくださいました木村哲哉厩舎の皆様、美浦トレーニングセンターの皆様をはじめ、関係者の皆様、そしてノーザンファンの皆様に本当にありがとうと、思っております。そして、このチームが凄まじいプレッシャーの中、馬に向き合い、結果を出し続けることができたのは、出資会員の皆様はもちろんですが、いつも温かく見守ってくださったファンの皆様のおかげです。深く感謝申し上げます。イクイノックスは競走生活を終了し、北海道社台スタリオンステーションにて種牡馬として第2のキャリアをスタートいたします。早ければ、4年後の2027年には、イクイノックスの子供たちがデビューしてくることでしょう。どうかイクイノックスの子どもたちにも温かいご声援をよろしくお願いいたします。最後になりますが、2年余りの間、本当にいつも温かいご声援をありがとうございました。そして、イクイノックス、ありがとう。あなたの素晴らしい走りを脳裏に焼き付け、父イクイノックスという競走馬がまたこのターフを躍動することを楽しみにお別れしたいと思います。本日は誠にありがとうございました」

木實谷氏「世界中の人々に感動を与えてくれた」

イクイノックス引退式 (C)Yushi Machida

●木實谷雄太氏(ノーザンファーム天栄上場)
ーーイクイノックスは今日までノーザンファーム天栄で過ごしてきたということですけれども、今日までの様子というのはいかがでしたか。
「ジャパンカップの後も元気な様子を見せていまして、今日先ほど無事な姿も確認できて安心しています」

ーー木實谷様がこの馬について1番評価されているのはどんなところですか。
「輝かしい競走成績だったり、卓越した競争能力はもちろんなんですけども、1番は多くの人に沢山の感動を与えてくれたということだと思ってます。先ほど馬が入場してきた時には、お子様から「イクイノックスありがとう」という声もかけてもらったんですけども、本当に馬券を買ってくださる方だけではなくて、競馬を見てくれる人たち、日本中だけでなく世界中の人々に感動を与えてくれたことが1番だなと思ってます」

ーー本当に愛された馬でしたね。
「そういった馬に携わることができて本当に誇りに思ってます」

ーー子どもたちにはどんな期待をされてますか。
「牧場の理念でもある、馬を通して世界中の人々に感動を与えるということを、本当にイクイノックスは1番に表現してくれたと思っていますので、次はその子供で、また多くの人々に感動を与えて、またその血統を後世まで伝えられるように、スタッフ一同技術向上に努めていきたいと思います」

◆イクイノックス 10戦8勝
(牡4・美浦・木村哲也厩舎)
父:キタサンブラック
母:シャトーブランシュ
母父:キングヘイロー
馬主:シルクレーシング
生産者:ノーザンファーム
馬名の由来:「昼と夜の長さがほぼ等しくなる時」

◆主な勝ち鞍
東京スポーツ杯2歳ステークス(G2)
天皇賞・秋(G1)22年・23年連覇
有馬記念(G1)
ドバイシーマクラシック(G1)
宝塚記念(G1)
ジャパンカップ(G1)

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