2024年はチーム間の差が縮まると予想も、フェルスタッペンはF1タイトル争いに自信「10勝しかできなくてもいい」

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の勝利への欲求はとどまるところを知らず、それは決して満たされることのない底なしの穴のようなものだ。しかし2023年シーズンに記録破りの19勝を挙げたばかりのフェルスタッペンは、チャンピオン争いで互角でいられる限り、2024年は10勝でも満足するという。

 圧倒的優位にあった2023年のフェルスタッペンは、まるで敵をなぎ倒す貨物列車のようだった。フェルスタッペンは今後破られることがないかもしれない数々の記録を打ち立てた。そのなかにはシーズン最多優勝(19回)や最高勝率(86.36%)が含まれている。また、最多連続勝利記録(10回)ではセバスチャン・ベッテルの記録を破ったほか、最多リードラップ数(1003周)も記録した。

 フェルスタッペンは個人のレース優勝よりもチャンピオンシップの全体像のことをより気にかけているかもしれないが、彼の成功への渇望は否定しようがない。フェルスタッペンは蜂蜜の壺を見つけた飢えた熊のようなもので、最後の一滴まで食べ尽くすまで止まらないだろう。

「現実的に、僕たちが達成したことよりもはるかに優れたことはあり得ない」とフェルスタッペンは先週バクーで開催されたFIA授賞式で語った。

「常に20戦で優勝しようとするのではなく、自分自身や走行中の改善点を見つけようとすることも重要だ」

「来年のことであれば、僕たちはマシンを改善してまたタイトルを争えるだろう。でも10勝しかできなくても、それはそれでいい」

「(今年の)僕たちの周囲の競争は浮き沈みがかなり激しかった。ある週はこのチーム、別の週はあのチームといった具合だ。来年はみんながこの新しいレギュレーションから多くのことを学んでいるだろうから、当然ながらレベルは相当に近くなるだろう」

2023年F1第23戦アブダビGP 今季19勝目を挙げたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 レッドブルの2023年型マシン『RB19』は実に例外的なマシンであり、グランプリレースで最も優位に立ったデザインのひとつとしてF1の歴史に残るだろう。どのチームであれ、この成功をすぐに再現できる可能性は低い。しかし、伝説的なデザイナーであるエイドリアン・ニューウェイが率いるレッドブルのエンジニアリング部門は、少なくとも前モデルと同等以上のマシンを作るために最善を尽くすことは確かだ。

「パーセンテージなどについて話すことはできるけれど、もっとうまくできることは常にある。僕たちはそのことを分かっている」とフェルスタッペンは述べた。

「もちろんマシンはとても優位にあった。でも言ってみればいくつか弱点も目にした。だからさらに改善できると思うし、それが来年に向けて僕たちが取り組んでいることだ」

2023年F1第16戦シンガポールGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 レッドブルF1のチーム代表クリスチャン・ホーナーは、2024年にライバルたちがレベルを上げるだろうと予想している。しかし2023年のレッドブルの主な強みのひとつである一貫性がなければ、パフォーマンスだけを上げても効果はなく、稀に輝きを見せるだけの挑戦になってしまうだろう。

「我々が驚いたのは、非常に安定した状態を維持できたことだ」とホーナーは語った。

「1年のさまざまな段階で、いろいろなマシンやチームが台頭してきた。アストンマーティンは非常に力強いシーズンスタートを切ったし、マクラーレンはシーズンを好調に終えた。フェラーリは特定のレースでトップ集団にいたし、メルセデスも同様だった」

「我々の後ろでは多くの動きがあった。しかし我々にコントロールできたことは、自身のパフォーマンスと、我々が達した一貫性だった」

「もちろんこのビジネスでは常に学ぶものだ。レギュレーションが変わらなければ、フィールドの差は縮まることがわかっている。この1年、さまざまな時点でそのことを目にしてきた。我々は改善し、進化を続けなければならない。RB19のすべての側面がRB20への進化のために検討されると思う。いっそう強力なマシンになることを願っている。なぜならライバルチームもそう試みていると確信しているからだ」

2023年F1第21戦サンパウロGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)&セルジオ・ペレス(レッドブル)
2023年F1第21戦サンパウロGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&ランド・ノリス(マクラーレン)

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