「校外実習」使命感養う 制服着て見守り、情報提供呼びかけ 茨城県警察学校初任科生

小学生の登校時に立哨活動する県警察学校の初任科生=水戸市吉沢町

茨城県警察学校(同県茨城町上石崎)は、採用直後に行う警察官の初任科研修に「校外実習」を取り入れ、市民と直接触れ合う機会を設けている。通学路の立哨活動や指名手配犯の情報提供呼びかけなど、市民の安全を守るさまざまな活動に参加。制服で活動することで、職務に対する自覚や訓練への意欲を高め、警察官に必要な使命感を養いたい考えだ。

警察学校に入校した初任科生は、採用当日から法的には警察官だが、6~10カ月の研修が必要な「警察官の卵」たち。警察官に求められる法律や実務の知識、一般教養を学んだり、逮捕術などの技術を習得したりする。カリキュラムは細かく定められており、これまでは校外に出て実習できる機会はほとんどなかった。校外での活動は異例の取り組みだ。

水戸市内で12月4日朝、初任科生が小学校近くの横断歩道で、児童たちを誘導。腰をかがめて子どもと目線を合わせ、「気を付けて渡ってね」「行ってらっしゃい」と声をかけた。

初任科生は学校に戻った後、感想や反省点をまとめて提出し、教官から助言を受けた。参加した坂井洸太巡査(26)は「地域警察官として小さな命を守る立場にあると自覚できた」と話した。

同学校の初任科生は他にも、殺人・死体遺棄事件の情報提供や自転車のヘルメット着用を呼びかけるキャンペーンなどにも参加してきた。

校外実習の背景について、小泉辰也学校長は「入校してくる学生たちはみんな優秀。ただ、先が見えないと不安になってしまう傾向があるようだ」と語る。小泉学校長自身も初任科生から相談を受けたことがあり、初任科生に自らの将来像をイメージしやすい経験の場が必要と痛感したという。

同学校には教場(クラス)が複数あり、1教場当たりの人数も多い。このため初任科生が実習に参加できるのは訓練期間中に1回程度に限られるが、初任科生には好評で、実習を経験した女性は「制服を着て市民と話するのは緊張したが、初めて警察官になったことを実感できた場だった」と振り返る。

小泉学校長は「研修で補えない部分を埋めるのが実習」として、校外実習を通して警察官としての倫理や誇り、使命感を養う必要性を強調した。

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