元ご当地アイドル、ガールズケイリンで闘志 大分市出身の日野さん「もっと強く」【大分県】

ガールズケイリンの有力選手として活躍する日野未来さん=東京都の京王閣競輪場

 【東京支社】女子選手による競輪「ガールズケイリン」で、大分市出身の日野未来(みらい)さん(30)=日本競輪選手会奈良支部所属・奈良市在住=が有力選手として活躍している。元ご当地アイドルというユニークな経歴の持ち主で、自転車競技未経験からの挑戦。「常に優勝争いに絡む選手になりたい」と、闘志を燃やしている。

 日野さんは大分高在学中に、福岡県のご当地アイドルグループに参加。20歳で上京し、雑誌のグラビアモデルとしても活躍した。

 仕事で女子競輪を見た時に「ものすごいスピードで先行逃げ切りする選手がとてもかっこ良くて。私もあんなふうに走りたい、乗りたい―と思った。『ママチャリ』しか乗ったことないし、スポーツも得意ではなかったのに」と振り返る。

 関係者を通して師匠を紹介してもらい、日本競輪学校(現日本競輪選手養成所、静岡県伊豆市)を目指した。1年間、毎日朝6時から夜8時まで走り込んだ。「こんなきつい思いはもう二度とできない。絶対に1回で受かる」と気合を入れて臨み、合格した。

 競輪学校を優秀な成績で卒業。2018年、25歳でプロデビューした。奈良競輪場での初戦で3着になり、元タレントという華やかな経歴でも注目された。しかし翌年、練習中の落車で骨折し、1カ月間欠場。休養後は成績が低迷し、一時は運営側から引退勧告される可能性もあったという。

 「落ち込んでいる時に、尊敬する先輩が一緒に練習してくれた。先輩の走りを見るうちに、私は先行逃げ切りにこだわり過ぎてレースをうまくつくれていないと気付いた」

 徐々に復調し、21年には岐阜競輪第8レース決勝で念願の初優勝を果たした。22年度は賞金ランキングでも上位に食い込んだ。

 鍛えに鍛えた太ももは、アイドル時代のウエストとあまり変わらない太さになったという。「私にはできないと思ったら、そこで終わり。やりたいことに出合えたから、必死にやってきた。これから、もっと強くなりたい」と、胸を張った。

<メモ>

 女子競輪は1949年から開催されていたが、選手不足などで64年に廃止。2012年に「ガールズケイリン」として復活した。レースは全国各地の競輪場で開かれている。

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