島原高生、バイオ甲子園優秀賞 「研究成果を保護に役立てたい」

バイオ甲子園で優秀賞に輝いた菅さん(左)と長谷川さん=島原市、島原高

 長崎県内に生息する野生メダカ(ミナミメダカ)で確認されている四つの型のミトコンドリアDNAのうち、「加津佐型」と「佐世保型」の境界は島原半島の付け根部分だった-。県立島原高の研究チームが、半島内外の約10カ所で採取したメダカのDNAを解析して判明。この成果を熊本市で先月開かれた「バイオ甲子園」(バイオテクノロジー研究推進会主催)で発表し、上位3位に入る「優秀賞」に選ばれた。
 発見のきっかけは、研究チームのリーダー、菅道大さん(17)=理数科2年=が昨年夏ごろ、先輩と共に始めたメダカの体色に関する研究だった。島原市南下川尻町と南島原市加津佐町で採取した個体群が黄色っぽい一方、雲仙市愛野町の個体群は黒かったため、「島原と南島原では(観賞用に品種改良された)ヒメダカと遺伝子交雑が起きているのではないか」との仮説を立てた。
 ところが、長崎大水産学部の協力を得て3地域の遺伝子を調べたところ、いずれも純粋なミナミメダカであることが判明。ミトコンドリアDNAも同じ「加津佐型」だった。
 そこで調査地点を拡大し、半島の付け根部分に位置する雲仙市愛野町と隣接する諫早市森山町など半島外の個体群も調べてみると、すべて「佐世保型」だった。諫早市と雲仙市の市境を流れる有明川にはメダカが生息していなかったことなどから、「ミナミメダカは有明川を境に分断され、島原半島の野生メダカは独自のミトコンドリアDNA『加津佐型』を築いている」と結論づけた。
 バイオ甲子園は、高校生が生物に関連するバイオ分野の研究成果を発表する全国大会で、32回目の今回は全国21校の中から書類審査を通過した9校が参加。菅さんは文理探究科1年の長谷川豊さん(16)と一緒に発表し、「プレゼン力があった」「新発見につながっている」などと評価された。
 菅さんは有明川を境にミナミメダカのミトコンドリアDNAの型が異なっている理由について「有明川は比較的流れが速いため、メダカが入れず交雑しなかったのではないか」と推測。さらに島原半島のミナミメダカが同じ遺伝子を持っているにもかかわらず、体色が違っている点に関しては「先天的なものか、後天的なものなのかを調べたい」と話し、一連の研究成果をメダカの保護に役立てる決意だ。

島原高生がメダカを採取した地点
島原半島各地のミナミメダカの体色の違い

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