11月10〜12日にセパン・インターナショナル・サーキットで2023年MotoGP第18戦マレーシアGPが開催された。日曜日の決勝レースで、2位表彰台を獲得したペドロ・アコスタ（Red Bull KTM Ajo）が、残り2戦を残してMoto2チャンピオンに輝き、最終的に332.5ポイントを獲得して、シーズンを締めくくった。
アコスタは、2020年にレッドブルMotoGPルーキーズカップ、2021年にはMoto3クラスでルーキーながらにタイトルを獲得したライダーだ。2022年からMoto2クラスに参戦を開始すると、3勝を挙げるもシーズンを通して転倒の多さが目立ったこともあり、ランキング5位で終えることとなった。
ところが、クラス2年目を迎えた2023年シーズンは、開幕戦のポルトガルGPから優勝を飾ると、第17戦終了時点までに7勝を含む13度の表彰台を獲得。圧倒的な強さを示し、ランキング2位のトニー・アルボリーノ（Elf Marc VDS Racing Team）に大きなリードを築いてマレーシアGPを迎えていた。
決勝は6番手スタートから序盤にポジションを上げ、後続を引き離して2位を快走。そして、今季14度目の表彰台を獲得し、ロードレース世界選手権の中では一番乗りで王者を決定させた。残り2戦は第19戦カタールGPは8位、最終戦バレンシアGPでは12位を獲得し、最終的にアルボリーノと83ポイント差をつけてシーズンを締めくくった。
アコスタは2024年シーズンにMotoGPクラスへの昇格が決まっており、GASGASファクトリー・レーシング・テック3から、アウグスト・フェルナンデスとともに戦う。また、最終戦後に行われたバレンシア公式テストでは、すでに赤いレーシングスーツに身を纏い、KTM RC16をライドする姿も披露していた。そんなアコスタがMoto2チャンピオンを獲得した喜びのコメントを語った。
■ペドロ・アコスタ
「すごいことだ。3年ぶりに2度目のタイトルを獲得できたなんて信じられないよ。アキ（・アジョ）、KTM、そしてチームに感謝している。チームと一緒に仕事をするようになって3年目になるんだけど、最初はこのバイクの速く走らせる方法を見つけるのにとても苦しんだんだ。Moto2のマシンに乗るには、僕の体がとても小さく軽すぎたために昨年の初めは苦戦し、何度も転倒してしまった」
「でも今年は、冬のプレシーズン中に大きな一歩を踏み出したおかげで全体的にも僕の頭脳的にも向上したと思う。昨年から多くの経験を得て、それを活かしてプレーできたことで、僕が犯したミスをすべて正すことができたんだ。チームは素晴らしい仕事をしてくれたし、僕はこの数年間で彼らとともに成長することができたと思う」
「プレッシャーを感じないようにするのに必死だったし、タイトル獲得においては簡単な状況ではなかったことも理解する必要があった。でも、チャンピオンシップを達成するための可能性は開いていたから、僕は木曜日に『もしここで優勝できないならカタールかバレンシアになるだろう』と言ったんだ。でも、日曜日のレースで競争力を発揮できるよう、週末はいつもと同じように挑んだらうまくいったよ」
「でもここ数戦はさらに頭を使ってライディングしていたのは事実なんだ。チームがチャンピオンシップを達成し、そして僕らがチームタイトルを争えることは非常に重要なことだからね。結果的にはいいレースができたと思うけれど、もっと何かが必要であることがわかったし、改善する必要があると思う」
「いずれにせよ、また表彰台を獲得することができたし、自分たちの道を歩んでいることに満足しなければならないよね。チームとしてはまだ2レース残っているから今日は泣きたくない。けれどバレンシアでは離れたくないと泣くことになるだろうね」
■マルク・マルケスの記録を破ってMoto2最年少チャンピオンとなり、ダニ・ペドロサに次ぐ2番目に若い中量級のチャンピオンに輝いたことについて聞かれると……
「最終的に、それについては考えないようにしているんだ。僕は新しいペドロ・アコスタであって、新しいマルク・マルケスではない。結局のところ、時代もバイクも違うから、これを比較することが出来ないのが事実だ。このような有名なライダーの中に入れたことはとても嬉しいけれど、今はそのことについて考える時ではない。今はただバイクに乗ってパドックを楽しんで、ここで働いているみんなと一緒に楽しむだけだ。自分が何をしてきたか、これから何をしたいかは考える時ではないんだ」
