住宅ローンを借り換えた方がいい3つの目安とは? 行動に移す際の注意点も解説

日本では低金利が長い間続いています。住宅購入時に住宅ローンを選んだときには、あまりよく考えずに金利が低いものを選んだという人は少なくないでしょう。しかし、2022年12月に日銀が金融政策に修正を加えてから、2023年7月、11月と徐々に金利固定型の金利が上昇してくると、変動型を選んでいる場合は、将来の金利上昇が心配になっている人が増えています。

また、住宅ローンを契約した時よりも今の金利が低い変動型のローン場合には、ローンを借り換えると有利なるのではないか思うこともあるでしょう。

今回は、住宅ローンの借り換えにあたり、事前に知っておきたい注意すべきことを確認していきましょう。


住宅ローンを借り換えた方がいい3つの目安

自分が契約している住宅ローンを一括返済するために、新しい住宅ローンを借りることを「借り換え」といいます。超低金利の影響で、変動型の住宅ローンの金利が0.3%台という金融機関もめずらしくありません。一般的な借り換えの目安は、

・ローンの残り期間が10年以上
・借入残高が1000万円以上
・借入金利と借り換え予定の金利差が0.3%以上

という3つの条件を満たすと借り換えの効果があるといわれています。ローン残高や残りの返済期間によっては、少ない金利差でもメリットが受けられる場合があります。

この中で一番気になるのは金利差でしょう。しかし、借り換えを成功に導くためには、金利以外のことも考慮にいれておく必要があります。

借り換えの目的をはっきりさせる

住宅ローンの金利が「いつ」「〇%上がる」ということは、予見できない事も多く、プロでも予測することができません。ましてや30年以上の期間のローンなど、将来の金利は不確定です。どんな住宅ローンに借り換えすればメリットがあるのかは、人によって考え方が違います。そこで何のために借り換えをするのかをはっきりさせておくと、取るべき方法やどんなタイプのローン選ぶのか選択がしやすくなります。

返済額を抑えたいのであれば、金利を下げて月々の支払額を減らし、総返済額が減る見込みがあるタイプを探すことになります。また、今後の金利上昇や毎月の返済額が増える不安を解消するのなら、変動金利型から固定金利型への切り替えを検討することで、利息の軽減効果より精神面の安定を優先させることができます。

この他にも、せっかく借り換えするのなら団信(団体信用生命保険)を充実させたいと考える場合もあるでしょう。団信は住宅ローンの契約後に加入することや、入り直すことができません。死亡や高度障害に加え、がんや脳卒中、高度慢性疾病など多岐にわたるものもあります。このような疾病団信は保険料相当のコストは発生しますが、最新の保障を付けて働けない場合に備えることができます。

借り換え諸費用も含めた総支払額をくらべる

いくら金利が低くても、借り換えをするには費用がかかるため、金利だけではなく、手数料を含めた総支払額をくらべてみましょう。

住宅ローンの借り換え時には、前のローンで抵当権抹消登記費用や全額繰り上げ返済の手数料がかかることが多く、新しい借入先では抵当権設定登記や印紙税、事務手数料などを支払う必要があります。

たとえば、ある金融機関で借入残債4000万円を借り換えた場合の諸経費の総額は116万2000円でした。
・抵当権設定・抹消費用 23万2000円
・事務取扱手数料 88万円
・その他登記関連費用 3万円
・印紙税 2万円

最近は金利を低くする代わりに事務手数料を定率型にするところが増えており、借り換えの金額が大きくなると諸経費も膨らみます。そのため、前のローンとの金利差が小さい場合や残りの返済期間が短い場合などは、思ったほど借り換えの効果が出ないこともあります。

選ぶローンの種類によっては、返済額が増えることもある

借り換えをしたローンによっては、返済額が増えることがあることも頭にいれておきましょう。たとえば、変動金利型で借りている人が、今後は変動金利も上昇しそうなので、20年固定金利型のローンに借り換えたとしましょう。2023年11月現在、20年固定金利のローンは、1.5~2.2%の借り換え金利になっているので、変動金利にくらべると毎月の返済額が増える人がほとんどでしょう。

また、固定金利型から金利の低い変動金利型に借り換えた場合には、当面の金利は低いので月々の返済額は抑えられたとしても、将来変動金利が現在の固定金利以上の水準にならないとも限りません。返済負担が増えた場合に、どのくらいまでの金利上昇に対応できるのかを考えておきましょう。

借り換え時にも審査がある、場合によっては住宅ローン控除が受けられない場合も

借り換えをする場合には、借入先の金融機関で審査を受けます。過去にローンの審査に通ったからといって、再度通るとは限りません。借りる人の健康状態が悪化している、転職したばかりだというときは、借り換えが難しくなります。借り換えの審査に通りやすくするためには、住宅ローン以外の借入れを返済して返済負担率を下げておくなどの対策も必要になります。

また、住宅ローン控除を受けるためには、借り換えのローンが当初の住宅ローンの返済のためであることと、借り換え後のローンの期間が10年以上なければなりません。

借り換えのローンの期間が9年と短くなってしまった場合には、住宅ローン控除の適用はできなくなります。また、借り換えで住宅ローンの返済期間が長くなったとしても、当初の住宅ローン控除の残りの期間を引き継ぎます。

借り換えの条件が変わっても、住宅ローン控除の期間が延びることはないので、住宅ローン控除が適用になる条件かも確認しておきましょう。

金利上昇に備えて、変動金利の住宅ローンは借り換えすべきか

2022年12月の日銀による長期金利の変動幅や上限の引き上げを受けて、金融機関は住宅ローンの固定型の金利を上げ始めました。その頃から住宅ローンの借り換えを検討する人が増えています。さらに長期金利が上昇していけば、いずれ変動金利も引き上げられると思われます。実際、2023年11月の住宅ローンの金利動向は、変動金利は横ばいですが、10年固定金利、フラット35や全期間固定金利などは金利が上がりました。

変動金利は、将来金利がどうなるか分からない不確実性が大きいローンです。金利が上昇して対応できる余裕がない人は、今のうちに長期の固定金利型に借り換えておくのも一つの対策です。

変動金利が上がってからの対応では、固定金利に借り換えてもメリットがありません。一般的に金利が上がるときには先に固定金利型が上がり、その後変動金利が上がるしくみになっています。将来変動金利が上がったときには、固定金利は今の水準よりも上がっているので、返済額が増えないように固定金利に変更することに無理があるからです。

また、返済期間が短い人や返済余力がある人なら、金利が上昇した場合のために、貯蓄を増やしておくなどの対策を考えておきましょう。同じ変動金利型のローンを借りていても、家計の状況は人それぞれ違います。今後、変動金利が上がりそうだからと慌てて借り換えをするのではなく、ライフプランに落とし込んで慎重に検討をする心がけが大切です。

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