自衛隊のイラク派遣から20年に 初代指揮官「安保戦略、議論を」

番匠幸一郎氏

 自衛隊のイラク派遣から来年で20年。戦火がやまない国での人道復興支援活動は憲法との整合性が問われ、その後の法整備につながった。派遣部隊の初代指揮官を務めた番匠幸一郎元陸将(米国笹川平和財団特別上級フェロー)は今こそ日本の戦略を広範に議論すべきだと語った。

 ―従来の海外派遣と一線を画す任務だった。

 「法の枠内での任務だった。15年の平和安全法制により、自衛隊は『武器等防護』や『駆け付け警護』ができるようになった」

 ―自衛隊は犠牲者を出さず任務を完了した。

 「最悪を覚悟し、ひつぎを持って行った。イラク派遣は軍事作戦だったとの認識を持つべきだ」

 ―自衛隊に対する国民の意識は変わったか。

 「そう思う。ロシアがウクライナを侵攻し、人ごとではないと国民が感じている」

 ―岸田政権は反撃能力(敵基地攻撃能力)保有を含む安保3文書を策定した。

 「あくまでも出発点だ」

 ―基地負担の軽減も必要だ。

 「抑止力強化と負担軽減を両立させなければならない。国防は国民一人一人も意識を持ち、何をできるか議論してほしい」

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