【インドネシア】矢野経済、日本でハラル認証取得の代理業務[経済]

市場調査会社の矢野経済研究所(東京都中野区)は14日、インドネシアのハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)認証機関「LPPOM MUI」(インドネシア・ウラマ評議会食品・医薬品・化粧品検査機関)と、ハラル認証手続きの代理業務に関する合意書に署名したと発表した。同社が日本でのLPPOM MUIの窓口となり、食品メーカーなどのハラル認証取得とインドネシアへの輸出・進出を支援する。

ハラル認証手続きの代理業務に関する合意書を交わした矢野経済研究所の水越孝社長(左)とLPPOM MUIのムティ総裁(矢野経済研究所提供)

矢野経済が、ハラル認証手続きの代理業務を行うのは今回が初めて。合意書には、日本国内でのLPPOM MUIの代理業務を独占的に担うことと、日本企業向けにハラル認証のプロモーションを共同実施することが、盛り込まれている。矢野経済によると、独占代理業務の契約期間は12月14日から2年間。

矢野経済を通じた日本での申請手続きは、すべて日本語での対応が可能となる。認証の対象商品は、食肉を含む食品・飲料、化粧品、医薬品とこれらの原料。認証取得にかかる期間は、認証申請書類が整った段階から1~3カ月程度だという。

ハラル認証取得までの手続きの流れとしては、認証を取得したい企業はまず、矢野経済の窓口に連絡して取得方法に関する無料説明会を受けた後、取得要件の研修(有料)を受講する。続いて、社内でハラル製品保証システムを導入し、矢野経済を通じてハラル認証を申請する。LPPOM MUIが監査した後、インドネシア宗教省傘下のハラル製品保証実施機関(BPJPH)がハラル認証を発行することになる。

監査費用やハラル認証発行にかかる費用は、インドネシアの法律で定められた額になるという。

日本での認証取得目標について、矢野経済の担当者はNNAに「われわれも初の試みのため、日本の企業の反応を見て、LPPOM MUIと相談しながら決めたい」と述べた。

矢野経済は2014年にLPPOM MUIと出版・セミナー事業で業務提携をし、18年からは日本企業向けにハラル認証取得のための研修をLPPOM MUIの教育部門「インドネシア・ハラルトレーニング&エデュケーションセンター(IHATEC)」と始めた。

日本にとって、インドネシアは食品などの輸出先として有望だが、ハラル認証取得の義務化の経過措置段階にあり、法規制の変更が頻繁に行われているため対応に苦慮する企業も多い。そこで矢野経済は、日本国内でハラル認証の取得を完結できる支援体制を整える必要があると考えたという。

一方、インドネシア国内では、ハラル検査機関が増えつつあり、LPPOM MUIとしては海外での認証件数の増加を目指す中で、中国や韓国と比べて認証取得数が少ない日本市場の可能性に着目していた。こうした双方の戦略が合致し、代理業務の提携に至った。

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