軟式野球、実証始まる 茨城・神栖 部活動の地域移行 波崎地区は剣道、課題探る

部活動の地域移行に向けて始まった神栖地区の軟式野球の合同練習=神栖市知手中央

中学校部活動の地域移行に向けて、茨城県の神栖市教委はモデル実証期間として神栖地区は軟式野球、波崎地区は剣道を選び、12月から軟式野球の合同練習を始めた。剣道も近く始める予定。同教委は2025年度末のスムーズな移行を目指し、実施場所や指導者の確保、参加費などの課題を探る。

3日、同市知手中央の市立神栖三中グラウンドに神栖地区の四つの中学校の野球部員のうち合同練習を希望した24人が集まった。地元の中学軟式野球チーム「神栖BBC」の岩井将也監督(26)らが指導した。

部員たちはロングティーバッティングを行ったほか、素振りとランニングと近距離のかごへのボール入れを組み合わせたリレー式ゲームで競い、午前中の約3時間汗を流した。部員が1年生7人だけという神栖二中の石川泰地さん(13)は父親に車で送ってきてもらったため「近い場所で野球ができる方がいい」と話したが、「大人数で練習できていい刺激になった」と開催を喜んだ。指導した岩井さんは「生徒たちが野球を好きなままでいられるよう、大人数だからこそできる練習をして、個々のレベルを上げていきたい」と意欲を語った。年度内の合同練習は土日のどちらかを使って開いていく。

市教委は9月に市地域クラブ移行推進計画を策定。その中で部活動の現状について、「少子化が進み継続して運営していくことが厳しい」「専門性や指導意思のない教員が顧問を務めている」と指摘し、働き方改革の進展も踏まえ、「生徒と教員の双方にとって望ましい持続可能な部活動を構築するため、新たな指導・運営体制の構築が求められている」としている。

同計画によると、移行推進の効果としては①学校部活動にはない、スポーツ・文化芸術活動の選択が可能②単一種目に特化されない、複数の体験機会の確保③新しい種目への挑戦、新たな才能の発掘-を挙げている。市教委は「多様なニーズに合った整備を目指したい」としている。

市教委は今後、モデル実証を進めながら、運営団体の事務局設置、財源確保の手段、平日を含めた実証、指導者の確保、学校の役割の明確化などを検討していく。

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