犬に『コタツ』は危険?飼い主が意識すべきリスクと絶対にダメな使い方

犬が「コタツ」に入るのは危険?

寒い季節になってくると、愛犬にコタツを使わせていいものか、迷っている飼い主さんもいることでしょう。

結論から言うと、犬がコタツを使うことは問題ないものの、使い方に気をつかなければトラブルが起こる可能性がある、というところです。

ぬくぬくとあたたかなコタツが好きな犬は少なくありません。

犬は寒さに強い動物ではありますが、室内で生活している犬は野生動物に比べるとやはり寒さへの耐性が低くなっていると考えられています。

また、いくら寒さに強いといっても、寒さで病気にかかったり死亡したりするリスクが低いというだけで、寒さを好んでいるというわけではないこともあります。

さらに、犬種やライフステージによっては寒さが苦手な犬もいます。特に注意したいのが、暑い地域が原産の犬や保温性の高い下毛を持たないシングルコートの犬、子犬や老犬などです。

これらのことから、気温が低いときにじんわりとあたたかいコタツに寄っていき、離れられなくなる犬がいるのも当然のことだと思います。

また、コタツには飼い主さんのにおいが残っていたり、周囲を布団で囲まれていたりすることから安心感を抱く犬もいます。心から安心して休むために、コタツにもぐり込む犬が多くいるのです。

飼い主が意識すべき「コタツ」のリスク

冒頭で、犬が「コタツ」を使うのは問題ないものの、その使い方に注意すべきである旨をお伝えしました。

コタツは使い方を誤ると思わぬトラブルを招くことがあります。ここからは、犬がいる家庭で特に注意したいコタツのリスクについて解説します。

熱中症や脱水症状のリスク

熱中症や脱水症状というと、暑い季節に起こるものと考えられがちですが、暖房機器が原因で起こることもあるのです。

特に、犬が全身をすっぽり入れられるコタツの場合、体に熱がこもってこれらのトラブルを引き起こすことがあります。

人間が下半身を入れている状態であれば、ある程度設定温度が高くても人間にはちょうどよく感じるかもしれません。しかし、その温度のコタツの中に犬が全身を入れてしまう状態は、犬にとっては暑すぎる可能性があります。

熱線に触れて火傷するリスク

最近では触れても火傷しない「フラットカーボンヒーター」が搭載されているコタツが増えています。

しかし一昔前までは、周辺の金属部分がかなり熱くなる石英管ヒーターやハロゲンヒーターが多く使われていました。

このような、熱くなる部分がある旧式のコタツに犬が全身をもぐりこませると、背中がヒーター部分に当たって火傷してしまうことがあるので注意しましょう。

また、44℃〜50℃程度の熱源に長時間接近したり接触したりすることで、低温火傷を起こすこともあります。これは高温での火傷のような痛みや強い熱さを感じないため、犬も気がつかないうちに起こっていて、重症化することがあるのです。

犬と一緒にコタツを使う場合は、弱設定にしたり時々犬を出したりするなど注意してください。

コードを噛んで感電するリスク

これはコタツだけに限ったことではありませんが、電化製品の電源コードを犬が噛んでしまうことによる誤飲や感電にも、飼い主として十分に注意しなければなりません。

特にコタツの場合、犬が頭からもぐり込んでいると内部で何をしているかわかりません。本体につながったコードは布団の中にあるため、気がつかないうちに犬が噛んでしまうことも十分に考えられます。

電源を入れている間はしっかりと犬に様子を観察し、専用のコードカバーを利用するなどして安全にコタツを使用してください。

皮膚が乾燥するリスク

犬が長い時間コタツに入り続けていると、皮膚が乾燥してしまうことがあります。

これは人間でも同じことが言えますが、犬は全身でコタツの中に潜ってしまうことも多いので、特に注意が必要です。

皮膚が乾燥すると、かゆみが起こり、それを掻くことで傷や炎症が引き起こされます。そしてそのようなことから皮膚疾患が慢性化することも。

コタツを使用した犬の皮膚の状態は、こまめにしっかりチェックしておいてください。

絶対にダメな「コタツ」の使い方

では、ここで改めて絶対にダメな「コタツ」の使い方を確認しておきましょう。「犬があたたかいなら…」などと軽率に考えていると後悔してしまうことになるかもしれません。

犬だけでコタツを使わせる

上記のように、犬がコタツを使うときには様々なリスクが伴います。しかし、そのリスクを知ったうえで飼い主さんがきちんと管理して使わせれば、問題なく過ごせることが多いでしょう。

そのため、犬がコタツを使ううえで大切なのは、「犬だけで入らせず飼い主さんの監視のもとで使わせること」です。

犬がコタツで寝ているときに放置してしまうと、気がつかないうちに熱中症や脱水症状を起こしてしまったり、思わぬいたずらをしたりすることがあります。

飼い主さんが使っていないときは電源を切るようにしてください。特に留守番中は絶対に電源を切り、コードもコンセントから抜いておきましょう。

全身もぐり込ませたままにする

犬はコタツの中に頭から尻尾まで全身ですっぽりもぐり込んでしまうことがあります。

たしかにあたたかく気持ちがいいと思いますが、布団で密閉された空間に長くいると、熱中症や脱水症状だけでなく、酸欠になってしまう恐れがあるので危険です。

また、犬がコタツの中にいることがわからず、飼い主さんが勢いよく足を入れて蹴ってしまったり、驚いた犬が入ってきた足を反射的に噛んでしまったり、というような予想外のトラブルも起こります。

犬をコタツに入れるときは、少なくとも首から上は布団の外に出すようにしましょう。また、身体的なトラブルを防ぐため、時々コタツの外に出して、水分補給をさせるようにしてください。

まとめ

一見安全そうな「コタツ」ですが、使い方を誤ると怪我や事故の原因となることがあります。

犬がいる家庭では、そのリスクと使い方の注意点をしっかりと把握しておきましょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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