白馬村土砂災害 避難住民 2時間だけ一時帰宅  避難指示は縮小【長野】

16日、土砂災害が発生した白馬村で、避難指示のエリアが縮小されました。避難を続ける住民は2時間だけ一時帰宅しましたが、避難指示解除のめどは立っていません。

■記者
「けさ避難エリアが縮小されましたが、この上のみそら野地区の一部では避難指示が出されたままです」

白馬村のみそら野地区で16日、山の沢筋で土砂崩落が起き、土砂と水が道路や住宅地へ流れ込みました。
17日の調査で被害が確認された建物は16軒で、このうち、全壊が1軒、床下浸水が1軒あったことが分かりました。

安全確認をした上で、避難指示の対象をみそら野地区の一部、65軒に縮小。午後1時からは、避難指示が続くエリアの住民に、一時的な立ち入りを許可しました。

■ペンションの経営者
「昼の1時から3時までは自宅に帰っていいってことなので、その間に荷物を取りにきたりとかしている状況です。(家の)裏の方に行くと膝のちょっと下くらいまで土砂が流れ込んでいました」

現場は別荘やペンションが立ち並ぶ地域です。

■ペンションの経営者
「あと直近でね、お正月があるので、そのお客様たちをどう受け入れればいいのかなと」
(経済的にも厳しい?)
「そうですね、やっぱり大きいですね、だいぶ、うん、やっぱりみんなそこが一番考えるところですね」

こちらの男性は家の横の物置に水が入り込みました。

■住民の男性(70代)
「家はどうもないで水はすごいけどな。朝は5時すぎからガランガランいうてるから、川に石ころ流れてるんやなと思ったけど…(避難指示の解除まで)1カ月くらいかかるっていうからね、でも土砂よけるいうたらかかるぞ」

地質学が専門の信州大学・大塚勉名誉教授は、当時の気象条件も影響したと考えています。

■信州大学・大塚勉 名誉教授
「あらかじめ雪が多少積もっていた。そして、非常に高温な状態で融雪が起こっていたのではないか。あとは雨ですね。これは気象庁の白馬村でのアメダスによりますと、60ミリを超えるような雨が比較的短時間に降っているということがきっかけとなったのではないかと思っています」

現場の復旧作業や、避難指示の解除の目途は立っていない状況です。

土砂災害を引き起こした沢は、白馬村のハザードマップで土石流の特別警戒区域に指定されていました。
今回、人的被害はありませんでしたが、専門家は、1996年12月に小谷村の蒲原沢で発生し14人が死亡した土石流災害と地形や気象の条件が類似していると指摘しました。
山の急斜面の近くでは、雨や融雪がトリガー(引き金)となっていつ災害が発生するのか、予測は難しいそうです。
だからこそ、「過去に起きた同様の災害を記憶にとどめて、そういう場所に住んでいるという意識を持つことが必要」だということです。

© 長野朝日放送株式会社