瀬戸内の農園で淡水エビ養殖開始 釣り堀開設、食材活用も計画

エコタンファームのオニテナガエビの養殖場。ボイラーの廃熱を養殖水の加温に利用している

 農業法人のエコタンファーム(瀬戸内市牛窓町鹿忍)は、東南アジア原産の淡水エビ・オニテナガエビの養殖に乗り出した。農園内のハウスを温めるボイラーの廃熱を水槽の加温に利用する。今月9日に釣り堀の本格営業を始め、今後は運営する総合レジャー施設・牛窓TARI(同所)のカフェで食材としての活用も計画している。

 オニテナガエビは体長20センチ以上になる大型のエビ。食用として東南アジアなどで養殖され、タイ料理やイタリア料理に使われる。農林水産省は4月、陸上に設けた施設で魚介類を育てる「陸上養殖」の事業者を対象に届け出制を導入した。今のところ詳細は公表されていないが、オニテナガエビの陸上養殖は全国的に少ないという。

 エコタンファームは農園の一角に農業用ハウス(約400平方メートル)を建て、水槽15基(容量1~8トン)を設けた。オニテナガエビの陸上養殖に成功した県外業者から体長数ミリの稚エビ約6千匹を仕入れ、6月に養殖を開始。給餌や水質管理などの技術指導も受けた。

 熱帯の原産だけに、水温は高めに保つ必要がある。農園では、グループの産業廃棄物処理業者が回収した廃木材をチップにしてボイラーで燃焼させ、ハウスでバナナやコーヒーを加温栽培している。ボイラーの冷却水は100度近くに達するため、その熱を養殖水の加温に利用している。

 稚エビはこの半年ほどで10~15センチに成長した。ハウス内に開設した釣り堀コーナーには、1トンの水槽4基に10~15匹ずつ入れており、釣ったエビは1匹丸ごと焼いてせんべいにして提供している。また、観賞用の販売も行っている。

 今後、カフェでは焼いたエビをトッピングしたカレーや、揚げたエビをパンに挟んだ「エビドッグ」の販売を検討。さらにエビの養殖水を使って野菜を水耕栽培する「アクアポニックス」の導入も視野に入れる。

 金山紘樹取締役は「水槽からの排水の栄養分が野菜に吸収され、浄化された水を再び水槽に戻すことができないか考えている。エネルギーや資源を全て再利用していきたい」と話している。

成長したオニテナガエビ。半年ほどで体長は10~15センチになった

© 株式会社山陽新聞社