【医薬品販売制度検討会とりまとめ議論】“濫用薬”、20歳での区別に日薬が最後まで反論

【2023.12.18配信】厚生労働省は12月18日に「第11回医薬品の販売制度に関する検討会」を開いた。この中で「濫用等のおそれのある医薬品」を対面・もしくはオンライン(画像)を用いた販売とする方向で議論をされてきたが、事務局は「20 歳以上の者が小容量の製品1個のみ購入しようとする場合」については、ネット販売を認める案を提示した。

「濫用等のおそれのある医薬品」の販売方法については、若年層におけるオーバードーズが社会問題化していることを受けて規制を強化する方向で議論されてきた。具体的にはテキストベースでのネット販売については行わないこととし、対面または画像を伴うオンライン販売とする方向で議論されてきた。

しかし、検討会の途中で、ネット販売では購入履歴が残るなどのメリットがあり、対面もしくはオンライン販売に限定する必要はないといった意見が出て、議論は割れていた。

そこで事務局は20歳未満の乱用問題に対応することに力点を置くことを重視し、「20 歳以上の者が小容量の製品1個のみ購入しようとする場合には、対面又はオンラインによらない方法による販売も可能とする」との案を示した。

これに対し、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、濫用は10 代に限った話ではないとし、20歳で区切って販売方法を変える方針には反対意見を表明した。

異なる意見が示される中で、特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事の花井十伍氏は、ハードルが高いほど安全性は高まるとの大前提を述べた上で、検討会として合意をする意義は大きいとの考えを示し、事務局案に同意する姿勢も表明した。

しかし、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は最後まで譲らなかった。「くどくなるが、問題は若年に限ったことではない。アクセスの問題との指摘もあったが、対面・オンライン販売はあるので、アクセスを阻害しているわけではない。あとで検証するということに関しても不便を感じているのであれば見直すということもあるのではないか。これだけ問題が起きている」(森副会長)と述べ、年齢に限らず対面もしくはオンライン販売とすべきと強調した。

意見の合致を最後まで見ることができず、検討会のとりまとめとして両論併記の方向となった。

開催後の記者ブリーフィングで事務局は、厚労省としては原案の20歳以上の取り扱いで“濫用薬”の販売方法を区別する方向は削除せず事務局原案を維持する意向を示した。
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