メルセデス・ベンツとマイバッハ、両ブランドにまたがる旗艦SUV『GLS』を刷新。全車を電動化

 大人7名がゆったりと乗車できるゆとりあるボディサイズに、オン/オフを問わない優れた走行性能を備えたブランド最高峰の旗艦SUV『GLS』がモデルチェンジ。基本となるメルセデス・ベンツに加え、高性能部門メルセデスAMG、そして伝統の最高級ラインであるメルセデス・マイバッハの全車に、改めてMBUX ARの仮想ナビゲーションと、クルマのフロント部分下方の路面の映像を映し出す“トランスペアレントボンネット”を標準装備し、12月14日から発売開始となっている。

 モデル名末尾で車格を表現する“S”の名称どおり、上質で高いプレステージ性を持つメルセデス・ベンツの最上級SUVに位置付けられるGLSは、今回の改良でISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を搭載する“GLS 450d 4MATIC”を追加設定することで、全ブランド全モデルが電動化を果たした。

 従来の3.0リッター直列6気筒ディーゼルに追加搭載されたISGは、エンジンとトランスミッションの間に配置され、オルタネーターとスターターの機能も兼ねた電気モーターを48Vの電装系で駆動する。

 これにより制動時にはモーターの回生による発電を行って約1kWhの容量のリチウムイオンバッテリーに充電。その電力を利用して動力補助を行うことで、力強い加速と再スタート時の快適性向上に加え、シフトチェンジの高い効率性も実現する。

 一方、ガソリン仕様の“GLS 580 4MATICスポーツ”は、低負荷走行の際に4気筒を休止する新型の4.0リッターV型8気筒直噴ツインターボ『M177』に、こちらもISGと48Vの電装系がドッキングされており、エンジン単体で最高出力517PS(380kW)、最大トルク730Nmを発生させ、さらに最高出力16kW、最大トルク250Nmの電気モーターが協調して優れたパフォーマンスを発揮する。

 さらにその動力性能面で上をいく『メルセデスAMG GLS63 4MATIC+』は、同じM177ながらAMGの手により最高出力を612PS(450kW)、最大トルクも850Nmまで増強。砂型鋳造されたクローズドデッキのアルミニウムクランクケースに鍛造アルミニウム製ピストンを組み合わせることで、軽量かつ高強度な エンジンを実現している。

基本ブランドとなるメルセデス・ベンツは“GLS 450d 4MATIC”と“GLS 580 4MATICスポーツ”の2グレード構成に
身長194cmの乗員まで対応する本格的な3列目シートを全モデル標準装備とし、全席で独立調整可能な5ゾーンクライメートコントロールとシートヒーターも装備

■クロームにより洗練された高級感を演出するマイバッハモデル

 この全車ともにエクステリアでは新デザインのテールライトを採用したほか、メルセデス・ベンツの2グレードでは4本の力強い水平ルーバーをあしらった新形状のフロントグリルや、よりスポーティさを強調するフロントバンパーとエアインテークを、そして脚元には新デザインのホイールを装着した。

 一方のインテリアでも、身長194cmの乗員まで対応する本格的な3列目シートを全モデル標準装備とし、全席で独立調整可能な5ゾーンクライメートコントロールとシートヒーターも装備。2列目シートは電動シートバックによる前後スライド機能を採用し、最も後方にスライドさせることでレッグルームが87mm拡大するほか、乗降性も大きく向上する。

 また、乗り降りでドアを閉める際に少ない力でも確実に閉まるドアクロージングサポーターを標準装備とするほか、2列目左右のリラクゼーション機能やシートベンチレーター、ヘッドレストクッション等を追加する“ショーファーパッケージ”を、新たに全モデルでオプション設定とした。

 そしてメルセデス製SUVで唯一、伝統の“スリーポインテッドスター”が輝くボンネットマスコットを備える『メルセデス・マイバッハGLS600 4MATIC』は、上端が太くなったボートのオールのような形状を持つ縦方向のピンストライプをモチーフとしたフロントグリルに、下端のエプロンにはマイバッハ・パターンをあしらったエアインテークを設け、クロームのバンパーと相まって洗練された高級感を演出する。

 一方のリヤもスリーポインテッドスター下部とリヤバンパー上部を走る2本のクロームトリムで水平基調のデザインを表現し、コンビネーションランプ内部のデザインを変更したうえでアンダーガードと左右のエグゾーストエンドはハイグロスクローム仕上げとすることで、より一体感を強調している。

 そのハイライトでもあるインテリアでは、3種類のウッドトリムと3種類のカラー(ブラック、マホガニーブラウン/マキアートベージュ、クリスタルホワイト/シルバーグレー)のナッパレザーの組み合わせが選択可能で、後者は高級ヨットの艇内がモチーフに。そのシートはダイヤモンドステッチ入りの新デザインを採用し、前席バックレスト背面にもインテリアトリムを配すなど美しさと高級感を添えている。

『メルセデスAMG GLS63 4MATIC+』は、同じ『M177』ながらAMGの手により最高出力を612PS(450kW)、最大トルクは850Nmまで増強
前後アクスルそれぞれに配されたアクチュエーターが独立して動き、1秒あたり1000回の頻度で路面の状態に対応した制御を行うAMGアクティブ・ライド・コントロールを搭載する

 その心臓部には同じくシステム最高出力557PS(410kW)、最大トルク770NmとなるM177を搭載し、マイバッハを含め、全車にステレオカメラで前方の路面のアンジュレーションをモニターしてあらかじめダンパーの減衰力を演算するEアクティブ・ボディ・コントロールを設定(450dはオプション)。さらにGLS63には、前後アクスルそれぞれに配されたアクチュエーターが独立して動き、1秒あたり1000回の頻度で路面の状態に対応した制御を行うAMGアクティブ・ライド・コントロールを搭載する。

 また、全モデルともリムに静電容量式センサーを備えたパッドを持つ最新世代のステアリングホイールや、現実の景色がナビゲーション画面の一部に映し出され、その進むべき道路に矢印が表示されるAR(拡張現実)ナビゲーションも標準装備に。

 さらにエンジンやトランスミッションの特性を切り替える“ダイナミック・セレクト”のなかには、急な下り坂での安定した走行をサポートするDSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)を実装したオフロードモードが追加され、その選択中には360度カメラを用いてメディアディスプレイにクルマのフロント部分下方の路面映像(フロントタイヤとその操舵方向を含む)を仮想的に映し出す、トランスペアレントボンネット機能も備えた。

 前述のとおり新たにISGを追加したクリーンディーゼル搭載のGLS 450d 4MATICのみ右ハンドル仕様となり、価格は1530万円に。以降、全車が左ハンドル仕様となるGLS 580 4MATICスポーツは2030万円、同メルセデスAMG GLS63 4MATIC+が2780万円、そしてメルセデス・マイバッハGLS600 4MATICは3220万円(いずれも税込)となっている。詳細についてはメルセデス・ベンツの公式サイト(https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/gls/overview.html)まで。

メルセデス製SUVで唯一、伝統の“スリーポインテッドスター”が輝くボンネットマスコットを備える『メルセデス・マイバッハGLS600 4MATIC』
インテリアでは、3種類のウッドトリムと3種類のカラー(ブラック、マホガニーブラウン/マキアートベージュ、クリスタルホワイト/シルバーグレー)のナッパレザーの組み合わせが選択可能に

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