政治資金パーティーは必要?「リターンはコストの倍以上か」市民感覚と離れた政界の常識 安倍派の“裏金疑惑”で注目

全国に波紋が広がっている政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑。そもそも政治資金パーティーとは何なのか、調査しました。

【写真を見る】政治資金パーティーは必要?「リターンはコストの倍以上か」市民感覚と離れた政界の常識 安倍派の“裏金疑惑”で注目

現代政治学が専門の法政大学大学院の白鳥浩教授に聞きました。

<法政大学大学院 白鳥浩教授>
Q.そもそも政治資金パーティーは、どういうものなんでしょうか?
「政治資金規制法8条の2に規定されています。一応、合法的な政治資金を獲得するために開催されるパーティーということになっています」

「政治資金パーティー」は、その名の通り、政治家個人や派閥などが政治活動のための資金集めを目的としたイベントです。裏金疑惑が問題になっていますが「政治資金パーティー」自体は、法律も認めているイベントです。

白鳥教授によりますと、政治資金パーティーの歴史は古く、少なくとも政治資金規制法ができた1948年、つまり75年前には、すでに開催されていたとみられます。特筆すべきはその“利益率”だと言います。

<法政大学大学院 白鳥浩教授>
「おそらく、コストに対して倍以上のリターンの収益があるというのは普通、考えているのでは」

パーティー券の相場は1枚2万円程度。券の収入から会場費や飲食代を引いた金額が政治家や派閥の“利益”になります。岸田派や麻生派など、自民党の主要派閥の利益率をみると、9割近くと実に利益率の高いイベントです。

自民党の主要派閥の収入全体に対して、政治資金パーティーが占める割合です。2022年の1年間では、パーティー収入は全体の8割以上を占めています。一方、安倍派の割合は低く、これが“裏金の疑惑”にもつながっています。

有名政治家と写真を撮ったり握手をしたりと、最近でいえばアイドルの「握手会」のようなことが以前から行われていた政治資金パーティー。参加者は何を目的にパーティーに行っているのでしょうか?

かねてからパーティー券を個人で購入してきたという元経産省官僚で政策アナリストの石川和男さんは…。

<政策アナリスト 石川和男さん>
「上品な結婚式の二次会のような感じ。来る人にとっては応援したいという純粋な気持ちもあれば、その場を使って自分の人脈を広げる、名刺交換をいっぱいするという、お互いそんなことをやってますよ」

しかし「その政治家などを応援している」という気持ちを示せれば、目的のほとんどを果たしているため、こんな事も起きるそうです。

<政策アナリスト 石川和男さん>
「パーティー券は買っているが、イベントには行かない。パーティー券買ったからといって、そこでご飯食べようと思わない」

まさに政治資金を集めることだけが目的のパーティー。今後も必要なのでしょうか?

<法政大学大学院 白鳥浩教授>
「特に自民党の場合は、派閥が党の中の党というような形で、それぞれ独立して資金を集めたり、候補者を擁立したりしてきたから、派閥の政治資金パーティーというのは、非常に重要な位置を占めると考られます。政治資金パーティーに派閥の財政を大きく頼っている現状では、なかなか今後、パーティーはなくなっていかない」

「政治資金パーティーは必要?」の答えは「自民党では派閥の収入の大部分を占めていて、すぐには無くならなそう」となります。

一方で「政治はお金がかかる」と当然のように言われてきましたが、今回の“裏金疑惑”をきっかけに、政界の常識が市民感覚と離れていることが浮き彫りになりました。政治資金パーティーをはじめ、政治の「当たり前」を見直す時期に来ています。

© 静岡放送株式会社