FIA国際自動車連盟は12月15日付で、2024 WRC世界ラリー選手権スポーティングレギュレーションを公開した。この中にチャンピオンシップ・ポイントの扱いに関する条文の変更があり、来季2024年シーズンから適用される新しいポイントシステムでは、従来の“一括”付与から、土曜日までの順位に応じたポイントと日曜のみのリザルトに対応するポイントが“分割”付与される体系へと変わっている。
2023年シーズンまでのWRCでは優勝したドライバーとコドライバー、マニュファクチャラーにそれぞれ25ポイント（pt）が与えられ、同じく2位に18pt、3位は15ptというように、ラリーの最終順位に応じたチャンピオンシップ・ポイント（25-18-15-12-10-8-6-4-2-1pt）が付与された。そして、そこにパワーステージの結果によって獲得できる最大5ptのボーナスポイント（5-4-3-2-1pt）が加算されていた。
レギュレーションの変更後、3つの部門の選手権ポイントはまず、各イベントの走行初日から土曜日の最終TC（タイムコントロール）までのタイムペナルティを含めた順位に基づいたポイント（18-15-13-10-8-6-4-3-2-1pt）が与えられることとなった。
なお、このポイントは最終的にラリーを完走しないと受け取ることができない。仮に土曜日終了時点で総合首位に立っていたクルーが日曜日にアクシデントやメカニカルトラブルなどによってリタイアした場合、当該クルーはノーポイントとなる。また、その下位に位置していた競技者は繰り上がることになるため、2番手につけていたクルーとマニュファクチャラーが、リタイアしたペアに代わって18ptを受け取る。
■敗れても優勝クルーより多くのポイントを獲得可能
次に、日曜日のみのリザルトに対応するポイントだが、こちらはオーバーナイト・リグループ後の最初のTCから競技の最終TCまでに限った区間での総合タイム（タイムペナルティを含む）に基づくリザルトに従って付与される。最大得点は1位の7ptだ（7-6-5-4-3-2-1pt）。
これに従来からあるパワーステージのボーナスポイントが加算されることで、土曜日までにデイリタイアを喫したクルーでも再出走後に最大12ポイントを得ることが可能になった。
一度のラリーで獲得できるポイントは30ptと従来から変わっていない。しかし、それには土曜日の時点で総合首位に立ち、日曜のみの総合タイムでもトップを維持しつつ、さらにパワーステージでベストタイムを記録しなければならない。つまり、日曜日も攻めの走りが要求されるため“フルポイントマーク”の難易度は上がることになる。
一方、この新しいポイントシステムでは優勝を逃したクルーが週末にもっとも多くのポイントを得る可能性がある。
例えば、土曜日の終了時点で総合2番手につけていた選手が、日曜のみの結果で1位となりパワーステージでも最速タイムを記録して最大ボーナスを獲得した場合は、週末に27pt（15＋7＋5pt）を獲得することになる。これに対して、土曜日までに首位に立っていた選手が日曜日のみの総合タイムで3番手、パワーステージを4番手タイムで終え、逆転を許さずラリーの総合優勝を決めたときのポイントは25pt（18＋5＋2pt）となるためだ。なお、新システムが導入されるのはトップカテゴリーのみ。WRC2やWRC3、ジュニアWRCやその他のカップでは従来の方式を採用する。
2024 WRCスポーティングレギュレーションではこの他、事前の車検から競技開始以前のエンジントラブルや競技中に発生したトラブルに対し、年間2基の使用制限数の範囲内でエンジン交換を許可することや、ハイブリッドシステムを搭載しないラリー1カーの出場を認めるなど、従来規定からの変更が確認できる。なお、後者はマニュファクチャラー選手権にノミネートすることができないほか、正規の共通ハイブリッドシステムと同程度以上のサイズと重量のダミーユニットを所定の位置に搭載しなければならないとされている。
●2024年WRCポイントシステム 付与ポイント一覧
【対象】土曜日終了時点までの総合順位
1位：18ポイント
2位：15ポイント
3位：13ポイント
4位：10ポイント
5位：8ポイント
6位：6ポイント
7位：4ポイント
8位：3ポイント
9位：2ポイント
10位：1ポイント
※日曜日にリタイアした場合は剥奪される。
【対象】日曜日のみの総合順位
1位：7ポイント
2位：6ポイント
3位：5ポイント
4位：4ポイント
5位：3ポイント
6位：2ポイント
7位：1ポイント
【対象】パワーステージのステージタイム
1位：5ポイント
2位：4ポイント
3位：3ポイント
4位：2ポイント
5位：1ポイント
