日鉄、USスチール買収へ 2兆円、日米大型再編

日本製鉄本社が入るビル前の看板=東京都千代田区

 日本製鉄は18日、米鉄鋼大手USスチールを買収し、完全子会社化すると発表した。買収額は約141億ドル(約2兆円)で、日米の鉄鋼業界の大型再編となる。日鉄は少子高齢化で国内の鋼材需要が減少する中、成長市場の米国で活路を見いだす。脱炭素化への技術開発でも協業する方針。買収は24年の実施を予定する。

 世界鉄鋼協会によると、2022年に日本製鉄は約4400万トンの粗鋼を生産し、企業別で世界4位だった。USスチールは約1400万トンで27位。単純に足し合わせると世界3位に浮上する。

 USスチール株式の15日の終値に対して約4割の上乗せ幅を付けた。日鉄は買収について「米国は先進国最大の市場で、高水準の高級鋼材の需要が期待できる」と説明した。

 日鉄によると、USスチールは自動車や家電用などの薄板やエネルギー分野などに使う鋼管を、米国や欧州で製造販売している。

 日鉄はグローバルで1億トンの年間粗鋼生産能力を持つことを目指しており、既にインドやタイの鉄鋼会社を買収している。

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