夢二 幻の油彩画・アマリリス入手 岡山の郷土美術館 24年巡回公開

報道関係者に公開された竹久夢二の油彩画「アマリリス」

 夢二郷土美術館(岡山市中区浜)は18日、瀬戸内市出身の画家竹久夢二(1884~1934年)の代表的な油彩画の一つとされながら、80年近く所在が分からなかった「アマリリス」を入手したとして、報道関係者に披露した。来年6月から東京、岡山、大阪などで開く生誕140年記念展で公開する。

 「アマリリス」は縦60.4センチ、横40.7センチで、1919年ごろ、夢二30代半ばの作品。鉢植えのアマリリスの奥に、当時の恋人・お葉をモデルにした着物姿の女性が描かれている。美術館によると、夢二の油彩画はこれまで約30点しか確認されておらず希少。愁いを帯びた目や大きな手という典型的な「夢二式美人」である一方「髪飾りに見えるようアマリリスを配置するなど、技法面での挑戦も見られる」という。

 夢二は、同作を約2年滞在した菊富士ホテル(東京)のオーナーに贈呈。応接間に飾られ、作家の著作で紹介されるなど評判を呼んだが、44年に同ホテルが閉館し、行方が分からなくなっていた。美術館は、夢二を研究する「竹久夢二学会」の岡部昌幸理事(帝京大名誉教授)から情報を得て調査。東京の画商から昨年12月に購入した。

 小嶋ひろみ館長代理は「洋画家としての夢二をひもとく上で重要な作品が古里に帰ってきた。一人でも多くのファンに見てほしい」と話した。

 記念展は、東京都庭園美術館(2024年6月1日~8月25日)、夢二郷土美術館、夢二生家記念館・少年山荘(9月7日~12月8日)、あべのハルカス美術館(25年1月18日~3月16日)などを巡回。夢二が外遊先の欧米で描き、亡くなる直前まで所持していたスケッチも初公開する。

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