【中国】鉄鋼需要、24年に回復基調へ=アナリスト[鉄鋼]

中国の鉄鋼需要が来年盛り返す見通しだ。資源や鉄鋼製品の情報を提供する上海鋼聯電子商務の徐向春・資訊総監(最高情報責任者)は、2024年の鋼材需要が前年比で2%増加すると予測。建設用鋼材の市況が底打ちし、製造業向けも伸びを維持するとの見方を示した。

中国の鉄鋼業界の調査を手がける我的鋼鉄網(マイスチール)が14~17日に開いた年次会議で、中国の鋼材市場の業界の専門家が講演した。

不動産市場の低迷を受けて、今年1~10月の建設用鋼材の需要は1億トン以上減り、鋼材価格の下落を招いた。徐氏は、23年の鋼材需要が前年比1%減少し、鋼材の年平均価格は1割下落すると見通した。

一方で、ここ数カ月間は不動産の新規着工面積の減少幅が縮小しており、「底打ちの兆しは鮮明だ」と指摘。鉄鋼市場は前向きなシグナルを発し始めており、冷延や亜鉛めっきなどの価格は回復しているとして、「鉄鋼業界は苦境から抜け出す」との見方を示した。24年の粗鋼生産量は前年並みの10億3,300万トンとなり、鋼材の年平均価格は3~5%上昇するとみている。

上海鋼聯の任竹倩副総裁は、鋼材の24年の国内消費が前年から横ばいになると予測。一方で海外の鋼材消費の伸びが鈍化し、輸出は前年比で減少するとの見方を示した。

上海鋼聯で鋼材担当の汪建華首席アナリストは、24年の粗鋼生産量が前年から100万~500万トン増加し、鋼材輸出は1,000万~1,500万トン減少すると分析。海外の反ダンピング(不当廉売)関税や炭素国境調整措置(CBAM)導入などが輸出を抑制するとの見方だ。

■消費量「既にピーク」

中国鉄鋼工業協会の何文波執行会長は会議で、中国の鋼材消費量は「既にピークに達しており、減少は避けられない」と述べた。

中国の鉄鋼在庫が22年に120億トンだったのに対し、鉄スクラップの消費量は2億トンを超えたとして、業界の脱炭素化には「二酸化炭素(CO2)排出量の削減に向けたどの方法よりも、リサイクルの推進が最優先だ」との考えを示した。

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