「統一は必要」と考える韓国人、史上最少…20〜30代は男女差顕著

韓国政府系機関の民主平和統一諮問会議(民主平統)は、四半期ごとに韓国国民の朝鮮半島の統一に対する意識調査を行っているが、「統一が必要だ」と答えた人の数が、最低を記録した。

民主平統は、韓国の19歳以上の男女1000人以上を対象に行なった世論調査の結果を、「第4四半期国民統一世論調査」にまとめて13日に発表した。それによると、「統一がとても必要だ」と答えた人の数は30.8%、「ある程度必要だ」と答えた人は33.2%で、合わせて64.0%で、2015年の調査開始以来、最低を記録した。ちなみに最も高かったのは、2018年第2四半期の79.1%で、それ以降、今年第2四半期までは概ね70%台を保っていた。

一方で「統一は全く必要ない」は13.8%、「あまり必要ない」は21.5%、合計で35.3%だった。

統一が必要だと考える理由としては、「戦争の脅威の解消」が31.8%で最も多く、ついで「経済発展」が27.7%、「民族同一性の回復」が15.5%、「自由と人権の実現」が11.5%、「国際社会での地位の向上」が8.9%と続いた。

北朝鮮をどう捉えるかという問いには「協力対象」が30.0%で最も多かったものの、「警戒対象」が25.7%で、「敵対対象」の21.5%と合わせると47.2%となり、否定的に見ている人は全体の47.2%に達した。一方、「協力、支援の対象」と見ている人は40.6%だった。

年齢別に見ると、20代男性の76.7%、30代男性の64.2%が北朝鮮を「警戒、敵対の対象」と見ている一方で、20代女性の56.3%、30代女性の47.1%が北朝鮮を「協力、支援の対象」と見ている。韓国では近年、「ジェンダー葛藤」と呼ばれる、性別、性的指向、性自認を巡る論争が激しくなっているが、それが統一についての考えにも影響を及ぼしていることが読み取れる。

参考までに、ソウル大学統一平和研究院が今年7月に行った統一に関する世論調査で、「統一が必要」と答えた人は43.8%で、2007年の調査開始以来最低を記録した。一方で、公共放送KBSが今年8月に行った世論調査では、統一に肯定的と答えた人は68.8%で、2022年とほぼ同じで、2021年よりは増えている。

調査方法が異なるため単純比較はできないものの、北朝鮮を見る視線は悪化しても、必ずしも「統一は要らない」という答えにはつながらないようだ。また上述したが、2〜30代男性の保守化、2〜30代女性のリベラル化という傾向は、他の世論調査でも共通して表れている。

北朝鮮の偵察衛星発射については64.6%が「懸念する」と答え、2024年の北朝鮮の軍事挑発の可能性については46.6%が「高いだろう」と答えた。また、2024年の南北関係については、48.9%が「今年より悪化するだろう」と答えるなど、南北関係については全体的に悲観的な空気となっている。

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