憧れの監督と「良い作品を」 エミー賞個人賞の稲田さん、金沢で喜び トンコハウス・アニメ「ONI」

拠点とするスタジオで仕事に励む稲田さん=金沢市尾張町2丁目のトンコハウス

 米テレビ界最高の栄誉とされる第75回エミー賞の授賞式が17、18日、米ロサンゼルスで行われ、金沢と米カリフォルニアにスタジオを構えるトンコハウスのアニメ「ONI~神々山のおなり」の制作陣3人が個人賞を受けた。「ベスト・カラー・デザイン賞」に輝いた稲田雅徳さん(32)は金沢市尾張町2丁目のスタジオで、「受賞はご褒美みたいな気持ち。賞を汚さないようにもっと良い作品を作りたい」と誓った。

 稲田さんは憧れのアートディレクターである堤大介監督の下、物語の色や光を設定する「カラースクリプト」を担当した。

 大学時代、堤さんが手掛けた映画「トイ・ストーリー3」を映画館で鑑賞し、「すごくすてきな絵。自分も描けるようになりたい」と憧れを抱いて、独学で絵を描くようになった。トンコハウスから声が掛かり、2018年に加入した。堤監督の作品には「ONI~神々山のおなり」で初めて本格的に関わった。

 稲田さんは、金沢でともにカラースクリプトを担当した橋爪陽平さんに「2人で勝ち得た賞」と感謝した。堤監督から「おめでとう」とメッセージが届いたといい、「うれしかった。もっと頑張らないといけない」と気を引き締めた。

 堤監督は「作品に携わった多くのアーティストたちの汗と涙と情熱が評価された結果だ」とコメントした。

  ●作品賞、受賞ならず

 エミー賞は映画のアカデミー賞、演劇のトニー賞、音楽のグラミー賞に相当する文化賞で、「ONI」は米国内で放送された家族向けのシリーズ作品を対象とする「チルドレン&ファミリー・エミー賞」にノミネート。ONIチームからは、稲田さんのほか、ロバート・コンドウCEO(最高経営責任者)が「ベスト・プロダクション・デザイン賞」、リア・ティンさんが「ベスト・セット・デザイン賞」を受賞した。

 主要部門では「ベイマックス」などディズニー4作品と並んで作品賞にノミネートされた。堤監督ら3人は監督賞、主人公の声優を務めたモモナ・タマダさんもヤングキャラクター声優賞にノミネートされたが、受賞は逃した。

 ★「ONI~神々山のおなり」 やおよろずの神々や妖怪がすむ神々山を舞台に、英雄に憧れるおてんば娘「おなり」が「ONI」の脅威から山を守るため奮闘する物語。2月、米アニー賞で2冠に輝いた。

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