射水・放生津八幡宮祭を追加 無形文化遺産候補に文化審

追加候補となった放生津八幡宮祭の曳山行事=10月、射水市のクロスベイ新湊

  ●新湊の曳山 ユネスコ「山・鉾・屋台行事」25年審議

 国の文化審議会は18日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産「山・鉾(ほこ)・屋台行事」について、「放生津(ほうじょうづ)八幡宮祭の曳山(ひきやま)・築山行事」(射水市)など4件を追加候補に選んだ。政府が来年3月末までに申請し、ユネスコの政府間委員会で2025年11月にも審議され、決定する。登録されれば富山県内では4件目となる。

  ●県最多13基/類例少ない築山 県内4件目

 県内では16年に「山・鉾・屋台行事」に「高岡御車山(みくるまやま)祭の御車山行事」(高岡市)、「魚津のタテモン行事」(魚津市)、「城端神明宮祭の曳山行事」(南砺市)の3件が登録されている。全国33件で構成され、登録済みの無形文化遺産に同じ分野のものを追加する拡張提案として放生津八幡宮祭のほか、「常陸大津の御船(おふね)祭」(茨城)「村上祭の屋台行事」(新潟)「大津祭の曳山行事」(滋賀)が選ばれた。

 今年の放生津八幡宮祭では県内最多の曳山13基が参加し、日中は花傘(はながさ)や人形で飾った花山が「イヤサー、イヤサー」の声で旧新湊市街地を巡った。夜は250個の提灯(ちょうちん)を付けた「提灯山」に装いを変え、幻想的な明かりが内川や情緒ある町並みを照らし出した。

 築山行事は全国的にも類例が少なく、曳山行事より古い歴史があると伝わる。今年は没後500年を迎えた室町幕府10代将軍足利義材(よしき)が放生津城主の神保長誠(じんぼながよし)の息災を弁財天に祈願し、竹生島から届いた護符が献上される場面が再現された。

  ●新規に「書道」、26年に審議へ

 文化審議会は無形文化遺産の新規提案候補に「書道」を選んだ。日本文化の多様性や深みを世界に広く発信していく観点から候補にふさわしいと判断された。登録件数の多い日本の候補の審査は2年に1回に制限され、24年は「伝統的酒造り」が対象。「書道」は26年11月ごろに審議される見通し。

 追加候補では「和紙」に「越前鳥(とり)の子紙(こし)」(越前市)、宮大工らが継承する技術「伝統建築工匠(こうしょう)の技」に「手織中継表(ておりなかつぎおもて)製作」の各1件が選定された。追加は試験的に審査件数制限の枠外とされ、25年の審査対象になる。

 

 ★放生津八幡宮祭 曳山行事と築山行事で構成される。曳山行事は江戸前期の1650(慶安3)年に始まったとされ、現在も毎年10月1日に行われる。築山行事は10月2日に放生津八幡宮の境内に組まれた築山台に主神と四天王の人形を安置し、前方で歴史物語の一場面を表現する。2021年3月に国の重要無形民俗文化財に指定された。

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