ユネスコ無形文化遺産「和紙」対象に福井県の「越前鳥の子紙」 国の文化審議会が追加申請を認可

越前鳥の子紙を漉く研修で技術継承に励む保存会の和紙職人たち=12月15日夜、福井県の越前市岡本小学校

 国の文化審議会は12月18日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録を申請する候補に「書道」を選んだ。2026年のユネスコ政府間委員会で登録可否が決まる見通し。2014年に登録された「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」の対象に、越前和紙の「越前鳥の子紙(とりのこし)」の追加申請も認めた。15年の保存会設立など地元の取り組みが評価され、伝統的で高度な技術を継承する体制が整ったと判断された。25年の委員会で審査予定。政府はいずれも来年3月末までに申請書をユネスコに提出する。

 書道は筆や硯(すずり)といった用具を使って手書きでする文字表現。漢字の伝来や仮名の発展とともに生活に浸透し、21年に国の登録無形文化財となった。日本文化の多様性や深みを世界に広く発信していく観点から候補にふさわしいと判断された。

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 登録件数の多い日本の候補の審査は2年に1回に制限されており、24年は「伝統的酒造り」が対象になっている。書道は26年10月ごろにユネスコ評価機関が登録すべきかどうか勧告し、11月ごろの委員会で結果が出る見込み。

越前鳥の子紙 雁皮(がんぴ)のみを原料にした手漉きの和紙。なめらかで光沢のある紙肌が特徴。かすかに黄みを帯びた色合いで、名前は卵の殻の色に似ていることに由来する。繊維の短い雁皮を均一な紙に漉き上げるには、高度な技術が必要とされる。虫害に強く耐久性に優れている。

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