フランス料理生かす高岡の技 シェフ浅野さん(京都)日本代表に、スズ製食器の良さ注目

2027年大会の日本代表に選ばれた浅野さん(中央)

 京都にある五つ星ホテルのレストランで料理長を務める浅野哲也さん(41)=兵庫県出身=が、富山県高岡市のスズ製の食器を用いて、フランス料理の国際コンクール日本代表選考を勝ち抜いた。器は自らの料理に合うよう、高岡に足を運び、希望に添って市内の職人に形状などをアレンジしてもらった。18日、高岡市役所で結果報告した浅野さんは「高岡では職人の魂を感じた。日本の料理だけでなく、伝統技術を世界に向けて発信できたら」と意欲を語った。

 浅野さんは、「HOTEL THE MITSUI KYOTO」内の「都季(TOKI)」料理長で、ホテル内全てのレストランの副総料理長でもある。日本代表として出場するのは「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」。世界的なフランス料理のコンクールで、リヨンで2年に1度行われる。国内選考決勝は11月にあり、浅野さんは27年大会日本代表に選ばれた。

 浅野さんは決勝に向け、世界中でSDGsの取り組みが進む中、「サステナブル(持続可能な)」をキーワードに、料理に合わせて自在に形を変えられる器を求めた。その中で着目したのが可変性や蓄熱性に優れたスズ製品だった。知人を介して高岡市内のコピーライター、上野賀永子さん(48)の協力を得て、市内の鋳物メーカーや職人などに発注した。

 金属製品メーカーのナガエ(同市荒屋敷)の販売会社NAGAE+やシマタニ昇龍工房(同市千石町)、金工作家らが納期まで約3週間の製作期間で応じ、タンブラーや真ちゅう板のプレートなどが仕上がった。浅野さんはメインの魚の蒸し料理などを華やかに盛り付けた。ナガエの長柄洋一社長は「今回のように急な注文にも高岡は対応できる土壌がある。高岡の魅力を発信できた」と手応えを語る。

 18日、市役所を訪れた浅野さんは高岡訪問時のことを振り返りつつ、「世界大会でも高岡製を使うことを考えたい」と話した。

高岡で作られたスズ製の食器に盛り付けられた浅野さんの料理

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