冬の全国大会特集(11) バレーボール女子 東九州龍谷 九州王者として意地とプライドを持って戦う 【大分県】

部員26人が、練習着の胸に「春高優勝」と書いたゼッケンを貼り付けた。全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)での4年ぶりの日本一に向けて、東九州龍谷(東龍)がチーム一丸となった。毎年4月になれば新学期が始まり、新1年生を迎え、新チームがスタートする。夏の全国高校総体に向けてチームをつくり、秋には国体、そして年が明ければ春の高校バレー。高校バレーボールの1年間の大きなスケジュールだが、「単年度勝負」にこだわる東龍において、春の高校バレーはその年度の総仕上げの大会となる。

単年度勝負にこだわるのには理由がある。相原昇監督は「選手にとって高校バレーは人生の中で3年間しかない。それぞれの学年で経験することは一度として同じことはない。その年その年で本気で日本一を目指さなければ選手に失礼だ」と語る。東龍の一貫したポリシーだ。

練習着の胸に「春高優勝」と書いたゼッケンを貼り付けた

相原監督は「3年生にとって、東龍で過ごした3年間の集大成となる大会だが、コートでは伸び伸びとプレーすればいい」と、これまで積み上げたものを悔いなく出し切るように呼びかける。高さやパワーで劣勢を強いられる相手に対し、粘り強いレシーブでラリーに持ち込み、切り返しの速さで対抗する。伝統のレシーブ力と高速バレーを磨いてきた。キャプテンの岡部詩音(3年)は「自分たちのスタイルに持ち込むことができれば結果はついてくる。『ここまでやるか』というぐらい念入りに対策を練っているし、あとは試合で普段通りのプレーをするだけ」とサラリと話す。1年の頃から試合に出る飯尾風香(同)は、「これまではピンチサーバーなど、ポイントで試合に出たが、主力としてコートに立ったと思っていない。これが最後の大会。悔いなくやり切る」と強い思いを口にした。

それぞれが思いを秘め、コートに立つ。1月4日から東京体育館で開幕する春の高校バレーでは、ノーシードからの勝負であり、1回戦から中国地方王者の就実(岡山)と対戦する。その後も日本一を経験した強豪校との連戦が続き、日本一になるためには何重もの高い壁がある。それでもこの2年間、九州では負けなしのプライドがある。相原監督は「厳しいグループに入ったが、優勝するためには倒さなければいけない相手。それが1回戦から続くだけ。一戦必勝であることに変わりはない」と平常心で戦うことを誓った。

チーム一丸で日本一を目指す

(柚野真也)

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