臼杵の食や文化に触れる体験型観光ツアー 商品化に向け市が実証事業【大分県】

庭園に設けられた実証事業の交流会場。40人が招待され、触れ合いを楽しみながら臼杵の食を堪能した=臼杵市臼杵の稲葉家下屋敷
実証事業の交流会場では、郷土料理や臼杵市産の食材を使った料理が振る舞われた

 【臼杵】歴史的建造物の活用とまちの新たな魅力創出を図ろうと、臼杵市は体験型観光ツアー「USUKIベニュー」の造成に取り組んでいる。タイトルは特別な場所を意味する「ユニークベニュー」(英語)と臼杵を掛け合わせた造語。実証事業を経て、臼杵ならではの食や伝統文化に触れられる観光コンテンツとして売り込む。

 11月中旬、国登録有形文化財の稲葉家下屋敷を会場に実証事業があり、観光関係者や市内外で働く外国人ら40人が招待された。

 ツアーの最大の特徴は「ほんまもん観光人」と呼ばれる地元の人との交流。屋敷の庭園に設けられた会場の各テーブルに料亭の女将(おかみ)や住職、商店主ら観光人が1人ずつ配置され、臼杵の魅力や文化の豊かさを伝えるなどしてもてなした。

 郷土料理のきらすまめしや茶台ずし、市認証の有機農法で育てた「ほんまもん農産物」を使った料理、地酒が振る舞われ、招待客は交流を楽しみながら臼杵の味を堪能。地域の伝統的な獅子舞や祭りばやしなども披露された。

 大分市の外国語指導助手、ラーラ・アセロビシオスさん(32)=オーストラリア出身=は「臼杵らしい特別な経験ができて感動した。どこの国の人でも楽しめそう」。JTB九州団体課の村上秀幸課長(57)は「上質な食や歴史的な建造物などは高級感、特別感を求めるお客さまに受けるのでは」と話した。

 招待客の意見を参考に内容を見直し、商品化につなげる方針。臼杵市産業観光課の山木哲男参事は「食や文化、人など『本物』にこだわったもてなしで新たな客層を取り込みたい」と意気込んだ。

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