若年層の献血離れが深刻化 沖縄県内の30代以下、10年で37%減 その理由とは

 若年層の献血離れが深刻化している。2022年度に沖縄県内で献血をした30代以下は1万9915人で、12年度の3万1940人から約37.6%減となった。若年層の減少分を40代以上が支えているのが現状で、この傾向が続けば将来、輸血用血液が大幅に不足する恐れがある。県赤十字血液センターは子どもの頃から献血に関心を持ってもらうことが大切だとし、紙芝居を使ったこども園への出前講座をはじめ、小中高生らへの啓発活動に力を入れている。(社会部・下里潤)

 献血が可能なのは16~69歳(65歳以上は条件付き)までで、22年度の献血者総数は5万4370人。うち10代は2756人、20代は6905人、30代は1万254人だった。

 30代以下の献血者数の割合は、20年前の02年度は全体の71.8%を占めていたが、12年度は56.0%へ減少、22年度は36.6%にまで落ち込んだ。献血者総数は5万人台で推移しているため、不足分は40代以上でカバーしている状況だ。

 献血で集められた血液の多くは50歳以上の医療に使われる。今後の少子化による献血者数の減と高齢者の増が進めば、需要に供給が追い付かない恐れがある。35年度には全国で延べ46万人の献血者が不足するという日赤のシミュレーションもある。

 若年層の献血離れの要因の一つとして、県赤十字血液センターは1986年以降、医療現場で400ミリリットル献血が主流になったことを挙げる。「16~17歳は200ミリリットルに制限されていたため400ミリリットルが可能な18歳以上に主眼が置かれるようになった。その結果、ほとんどの高校で実施されていた献血バスは控えられるようになり、90年代後半には2割程度にまで落ち込んだ」と指摘。献血する機会が減ったことで関心が薄くなったと分析する。

 一方、10代で献血の経験をした人は社会人になっても積極的に献血へ行く傾向があることから、近年は高校での献血を積極的に再開している。実施率は2008年を境に伸び始め、現在は約6割まで回復。11年からは17歳男子も400ミリリットルが可能になったことで、高校生の献血機会も増えた。

 それでも若年層の献血離れは十分に防げていない。血液推進課の大城正巳課長は「核家族化の進展で高齢者が身近におらず、献血へのイメージが沸かない若者が多いのではないか。小学生のうちから教育活動に力を入れ、老若男女が協力して命を守る取り組みを強化したい」と話した。

献血ルームで献血を受ける男性=11月10日、那覇市久茂地(小宮健撮影)
年代別献血者の推移

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