吹奏楽の地域クラブ 送迎支援が好評 雲仙市内で実証実験中 移動手段確保で部員増も

イベント会場にタクシーで到着し、楽器を持って降りる部員=雲仙市吾妻町

 長崎県雲仙市内の学校部活動の地域移行に備えて、中学生の吹奏楽地域クラブ「雲仙ジュニアブラス」の送迎を支援する実証実験が好評だ。移動手段を確保できたことで、部員が5人増加。実施団体は「今後は他のクラブチームも支援したい」と話す。
 長崎トヨペットや市内タクシー業9社による運営協議会(溝口昌喜会長)が10月から実施。休眠預金を活用する一般財団法人未来基金ながさきが必要経費を助成する。
 クラブには市立6中の生徒が所属。平日はほとんどの生徒が各校で練習している。土日は午後に3、4時間、市の中央付近に位置する千々石中で活動しているが、昨年度の保護者アンケートで「移動手段がないと入部しづらい」との意見があった。市と運営協議会が連携して送迎を決めた。
 送迎はジャンボタクシーを使う。ルートは最北の国見から瑞穂、吾妻、愛野の各中を経由する便と、最南の南串中から小浜中を通り北上する便が基本。乗降する部員に応じて変更する。イベント出演時は会場へも向かう。料金は片道200円。
 これまでにクラブの見学者を含め延べ80人以上が利用。生徒たちが参加しやすくなり、部員は30人に増えた。市立愛野中2年の北尾叶夢(かのん)さん(13)は「両親は土日も仕事があるので、送迎があって助かった。指導してもらっていた3年生は引退したが、地域クラブに来れば教わることができる」と喜んでいる。
 協議会のメンバーで地域クラブ代表も務める西川卓也さんは「まだ試行錯誤だが、運動クラブにも広げたい」と話した。

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