アストンマーティンに欧州GTWCスプリント王者のドルディ加入。シャベス、ピタードもワークス入り

 アストンマーティン・レーシング(AMR)は、2023年ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCヨーロッパ)のスプリントカップでシリーズチャンピオンを獲得した、マティア・ドルディとファクトリードライバー契約を結んだと発表した。また、エンリケ・シャベス、デビッド・ピタードも同陣営に加入することとなり、AMRのワークスドライバーは残留組と合わせて計9名となった。

 25歳のドルディは2019年からアウディスポーツのファクトリードライバーを務めていたが、先日インゴルシュッタットを拠点とするドイツメーカーから離脱することを確認した。

 イタリア出身のドルディは、アテンプト・レーシングが運営するトレゾア・オレンジ1で、リカルド・フェラーとともにアウディR8 LMS GT3エボIIをドライブし今季2023年のGTWCヨーロッパ・スプリントカップのタイトルを獲得。さらに、彼はアウディのマシンでニュルブルクリンク24時間レースやIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジにも何度か参戦していた。

 そんなドルディは新天地でのプログラムを心待ちにしている。「ワークスドライバーとしてアストンマーティンに加わることができて光栄に思う」と彼は語った。

「信じられないほどの成功の歴史と、近い将来への本当に高い野心を持つモータースポーツの象徴的なメーカープログラムに参加することを、とても楽しみにしている」

「ドライバーとして成長し、世界中のもっとも重要なレースで名誉ある勝利を目指してともに戦うには、この環境が最適だと感じているんだ。AMRが来年のバンテージ・プログラムに注いでいるコミットメントは本当に有望であり、2024年がすぐにやってきてほしいよ」

 ドルディ、ピタードとともにワークス入りを果たしたシャベスは、WEC世界耐久選手権でアストンマーティン・バンテージAMRのステアリングを握り、すでに大きな成功を収めている。

 このポルトガル人レーサーは、2022年にベン・キーティング、マルコ・ソーレンセンとTFスポーツのバンテージをシェアし、同年のLM-GTEアマクラスでチャンピオンシップタイトルを獲得。ル・マン24時間レースでもクラス優勝を果たした。

アストンマーティン・ワークスドライバーに指名されたマティア・ドルディ

■ヴァルキリー・ハイパーカープログラムも見据えたラインアップ拡充

 ピタードも以前からアストンマーティンにゆかりのあるドライバーだ。彼は2022年から同陣営のハート・オブ・レーシングチームに所属し、主に北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権でバンテージGT3を走らせていたが、今回フルワークスのステータスに昇格することとなった。

 また、31歳のイギリス人ドライバーは今シーズン、フリカデッリ・レーシングチームに参加し、ニュルブルクリンク24時間でフェラーリ296 GT3のステアリングを握り優勝ドライバーのひとりとなっている。

「耐久レースにおけるアストンマーティンの新たな時代への出発を準備するなかで、新たに開発されたアストンマーティン・バンテージGT3とGT4プラットフォームの進化、そして2025年にレース・エンティティとなるヴァルキリー・ハイパーカープログラムの登場、これらに乗り出す準備として、私たちは非常に競争力のあるワークスドライバー・ラインアップを揃えた」と語るのは、アストンマーティンの耐久部門責任者であるアダム・カーター。

「このドライバー・グループは勝つ方法を熟知しており、GTカーからあらゆるパフォーマンスを引き出すエキスパートであると同時に、このレベルで勝つために必要な持久力も備えている」

「マティア(・ドルディ)、エンリケ(・シャベス)、デビッド(・ピタード)という実績のある3人のチャンピオンをこのグループに迎えられたことをうれしく思う。2024年以降、彼ら全員が何を達成できるのか楽しみだ」

 3名の実力者の加入より計9名となったAMRのワークスドライバー・ラインアップ。この他の6名、ロス・ガン、マルコ・ソーレンセン、ニッキー・ティーム、バレンティン・ハッセ・クロット、ジョニー・アダム、ダレン・ターナーは、いずれも残留することが決まっている。

アストンマーティンがLMHプロジェクトの再始動をアナウンス。ヴァルキリーでの2025年WEC&IMSA参戦を計画している

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