糸引きマフィン店への“行政処分”見送りが波紋…保健所が明かした“店主の現在”

5月のデザフェス出店時の様子(同店Instagramより)

12月19日、製造・販売したマフィンを口にした複数の客が腹痛や嘔吐の症状を訴えた焼菓子店に対して、店を所管する東京都目黒区の保健所が行政処分を見送ったことが報じられた。

「朝日新聞」によると区の保健所は同店への立ち入り検査を行い、体調不良を訴えた7人の便やマフィン15個の成分分析を実施。しかし、食中毒の原因となる細菌は検出されず、処分の根拠は得られなかったという。

この店は11月11日と12日に行われたアートイベントに出店し、マフィンを販売したところ、食中毒に似た症状を訴える客が相次いだ。SNSでは具材の栗が「納豆のように糸を引いている」と写真付きで投稿され、「糸引きマフィン」「デスマフィン」と呼ばれることに。さらに同月15日、販売されたマフィン9種類約3000個について、厚労省が最も危険度の高い「CLASSI」のリコール対象にしたことを公表し、物議を醸した。

店主は客が不調を起こした要因について、《マフィンは11月6日から毎日つくっていて、11日と12日に販売したのですが、時間があきすぎてしまいました》と「集英社オンライン」の取材に対し明かしており、衛生管理に対する知識の乏しさなど製造過程での問題点を指摘する声がSNSを中心に上がった。

そのため今回の“行政処分なし”、という判断に世論は納得がいかない様子。ネットでは《製造工程は食品を扱うにはあり得ないことだらけだったのにその点に踏み込まないのは何故なのか?》などの異論が噴出することに。

この点について、目黒区保健所の担当者に話を聞くと、「製造過程に瑕疵があるというのは、原因の一つです。明確に食中毒菌が検出されないと行政処分にはなりません。店に対しては、保管状況を含めて指導を行っています。作ってから日数が経ってしまっていたことなど、管理が適正かどうかを含めて指導しました」とコメント。処分はないが、店舗への指導自体は行っていると明かした。

また、今後店を再開することは可能だという。

「行政処分を受けても受けていなくても、再び店を開くことはできます。行政処分はペナルティというよりも“改善に要する日にち”と考えていただいたほうがいいと思います」

続けて、腹痛や下痢の原因については「断定することはできません。食中毒の菌は出ていませんが、ほかの菌が原因だと考えることもできます。マフィンが古くなっていたという可能性があるので、食中毒菌ではないけれど一般の細菌が増えていたという可能性はあります。ただ原因に関しては、推定の域を出ません」と述べた。

担当者はさらに、「店主のかたは反省されているように感じました。謝罪の言葉もありましたが、それは私どもに、というよりかはマフィンを買われたかたに向けてのものだと捉えております」とコメントしている。

食の安全を揺るがしているデスマフィン騒動。外食産業の挽回に期待したい。

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