インフルエンザ感染拡大…推計患者は今シーズン最多 本格的流行はこれからか 医療現場・薬局には『危機感』 静岡県

インフルエンザの感染が拡大していて、静岡県内の推計患者数は今シーズン最も多くなっています。医療現場や薬局からは、危機感にも似た切実な声が聞かれました。

岩はし内科医院(静岡・駿河区 18日)
医師:症状が出たのはいつですか?
患者:きのう37.5分ぐらいで、きょう午前中から38度はあったけど…。

18日、静岡市内の内科を訪れたこちらの女性。前日に子どもがインフルエンザA型に感染してしまい、自身も38.7分の発熱症状が出たため、検査に来ていました。

判定結果は陰性でしたが…。

岩橋美智代医師:「どうみてもインフルエンザ。家族も陽性なので、みなし陽性と言って、インフルエンザと診断することができる。インフルエンザとして治療しましょう」

静岡県内の定点医療機関あたりの患者数は、最新の数字(12月4日~10日)で警報レベルを上回る33.09人。1日あたりの推計患者数は4700人となっていて、今シーズン最も数字となっています。

感染拡大を受け、県内では学級閉鎖も多発していて、18日時点で県内24の施設で学級閉鎖となっています。

医療現場では、急激な感染拡大を感じているといいます。

こちらの医院では、2週間前のインフルエンザの陽性者数は19人でしたが、先週には28人とおよそ1.5倍に増加。今年は、例年と比べても陽性者が多くなっていると言いますが、一方で本格的な流行は、これからさらに広がる可能性もあると話します。

岩橋昌雄院長:「例年だと12月末~2月末ぐらいまでが一番(インフルエンザ患者が)多い。最初はA型、2月~3月ぐらいからはB型が増えてくるので、(この先)どうなのか、こちらも注視している」

薬局では「薬不足」続く

薬を処方する薬局側では、感染拡大によって切実な問題が起きています。

薬局メディスン籠上店 佐野由佳管理薬剤師:「こちらが当店の在庫、たん切りの薬はこれだけ。せき止め薬もこちらだけ。どちらも患者1名分も出せない状況」

いま、薬局を中心に全国的な問題となっている、せき止め薬などの「薬不足」。ジェネリック医薬品メーカーの不祥事によって薬の供給が不足し、さらにインフルエンザなどの感染症患者が急増していることで、薬局などでは、発注をかけても必要な薬が届かないという現象が起きているのです。

現時点で、取り扱っているせき止め薬などの商品リストの一覧をみせてもらうと。

薬局メディスン籠上店 佐野由佳管理薬剤師
Q.赤い部分は?
A.「きょう現在の状況で、赤くしてある薬は、いま在庫がないという状況」

Q.せき止め薬だと、4種類あるなかで3種類が赤だが?
A.「そう、いまは(子どもなどには使えない)カフコデというものしか在庫してない」

Q.取り扱いのある薬のほとんどは在庫がない?
A.「はい、そうです」

薬局メディスン籠上店 佐野由佳管理薬剤師:「各卸業者にこの薬はありませんかと問い合わせする時間ももちろん手間だし、処方された薬の代わりになるものがないかを調べるのに、必ず薬剤師一人の手が止まる。そうすると待合室で待つ患者の待ち時間も長くなってしまう。この薬不足について、どこに声をあげたらいいんだろうというのはスタッフ間でよく話している」

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