政治とカネ 強制捜査でも有罪にならなかった“あの議員” 任意の捜査で政治生命絶たれた人も…【解説】

政治資金パーティーの構図

(夏目みな美キャスター)
国民から批判が高まっている“政治とカネ”の問題です。12月19日ついに東京地検特捜部が自民党の安倍派と二階派の派閥の事務所に家宅捜索に入りました。今回の問題点を改めて整理しておきましょう。

(柳沢彩美キャスター)
自民党派閥主催の政治資金パーティーの構図がこちらです。

派閥から所属議員にはまず、チケットの“販売ノルマ”というものがありました。所属議員はチケットの売り上げを振り込みました。そしてこのノルマを超えた分が、“キックバック”されていたとみられています。

ここからが問題なんです。この収支報告書にキックバックの一部の記載がなかった。これは派閥の方も、所属議員の方も収支報告書に記載していないものがあった。これが問題になっています。

そして政治資金規正法違反の疑いがあるとして19日、東京地検特捜部が家宅捜索を行ったのが、自民党の安倍派の事務所、そして自民党の二階派、二つの派閥事務所だったわけです。

大石さん、それぞれの議員も事務所を持っているんですけれども、今回は派閥の事務所へ家宅捜索に入ったということですね。

(大石邦彦アンカーマン)
国会議員、そして秘書サイドから様々な証言が出ていました。例えば安倍派の宮沢博行議員はキックバックを認めた上で、派閥の指示があった、どんな指示だったかというと、「収支報告書に記載するな」という指示があったと証言しています。

そして、安倍派の元秘書は「キックバックは慣習だった」と認めた上で、「これは領収書もいらないし、収支報告書にも記載する必要のない政策活動費なので、収支報告書に記載する必要ないですよ」というふうに指示されたと言っているんですね。

ですから、これが裏口作りの手口ではないかとみて、19日、強制捜査に踏み切ったと考えられます。

(夏目みな美キャスター)
では家宅捜索なんですけれども、一体どんなことが調べられているんでしょうか?

(大石邦彦アンカーマン)
これ東京地検特捜部の方に以前聞いたことがあるんですけども、まず、一般的な今後の家宅捜索の流れどんなことが考えられるのか、見ていきたいと思います。

家宅捜索のダンボールの中には何が入っている?

19日は派閥の事務所でしたけれども、国会議員の皆さんは、国会があるときはこの議員会館の中にある東京事務所に詰めているんですね。なので、ここに(家宅捜索が)入る可能性もあります。

そして皆さんの地元にある事務所にも(家宅捜索が)入る可能性もある。さらに自宅または、その議員の関係する企業や団体、これ何かと言いますと、その議員の名前っていうのは表向き出てこないんですけれども、親族が経営するような企業や団体にお金は流れていないのか、そのあたりまで捜査が及ぶ可能性も考えられます。

実際に19日は建物の中に、係官が何人か入ってっていきました。あれ、何人で入るのかといいますと、建物の広さ、部屋の広さで決まるんだそうです。つまり部屋が広いと、当然押収するものも増えてくるだろうということもあって、人数がどうしても多くなるということです。

そして、ダンボールの中に押収品を入れますよね。そこに何が入ってるかというと、パソコンだったり書類とか手帳とか、日誌とかメモなどが入っていて、つまり“証拠になりそうなもの”があそこに入って押収されるということなんです。

小沢一郎衆院議員の場合は…

(夏目みな美キャスター)
今回は、東京地検特捜部が家宅捜索に入りましたが、これまでに同じように政治資金規制法違反で捜査に入るパターンもありました。しかしこれが必ずしも有罪になるわけではないということですね。

(柳沢彩美キャスター)
はい。今から十数年前なんですけれども、立憲民主党の小沢一郎衆院議員が自身の政治団体の収支報告書に虚偽の記載をした、ウソの記載をした疑いで東京地検特捜部が関係先を家宅捜索しました。

これ最初はですね「不起訴」、つまり裁判にかけないと判断されたんですけれども、その後、検察審査会が「起訴すべき」ということで判断を覆しまして、結果、裁判が行われて「無罪判決」となったんですね。

(夏目みな美キャスター)
この裁判では、秘書が収支報告書にウソを書いたことは認められたものの、小沢議員自身は、秘書から十分な報告を受けていなかった、違法だと思っていなかった可能性があるということで無罪となったということなんです。

大石さん、最近になってもこの政治家とカネにまつわる問題というのが起きていそうですね。

任意の捜査で政治生命を絶たれたケースも

(大石邦彦キャスター)
そうですね。小沢さんの場合は、強制捜査で結果無罪だった。一方任意の捜査を受けてですね、その後、政治生命を絶たれた方もいらっしゃいます。

これ去年なんです。同じ、収支報告書の記載漏れになります。当時の薗浦健太郎う衆議院議員、政治資金パーティー収入をおよそ4000万円分少なく記載したんですね。

で、臨時国会閉会後、任意の聴取を受けて、1週間ほど後に議員辞職しています。そして辞職の翌日に、政治資金規正法違反で略式起訴されて、東京簡易裁判所は、罰金100万円、公民権停止3年の処分を出してるんですね。

「公民権停止3年」というのは、3年間立候補できないということですから、同じような案件で、政治生命が絶たれてしまった例もあるということです。

国会会期中から“雲隠れ”の議員はいまどこに…

(夏目みな美キャスター)
ではここでこの地方の国会議員のこれまでの動向を見てみましょう。

(柳沢彩美キャスター)
はい、この地方の自民党所属の国会議員で、裏金疑惑を持たれ自らの口で説明していないのは、愛知三区が地盤の池田佳隆議員です。4000万円を超える不記載の疑いがあるんですが、国会会期中から公の場に姿を見せていません。事務所が3200万円の不記載を認めたんですけれども、これは「『政策活動費』として認識していた」とコメントをしています。

さらに、およそ5000万円の不記載の疑いがある、参議院岐阜選挙区の大野泰正議員なんですが、「精査している」と繰り返していました。で、13日に秘書が「キックバックがあった」と認めて、12月7日付で450万円分を訂正しています。

(夏目みな美キャスター)
東京地検特捜部による家宅捜索が19日行われました。ここから、“真相の解明”に繋がっていくということですよね。

(大石邦彦アンカーマン)
はい。政治家というのは「結果責任」を求められます。そしてそれだけではありません。きょうの視点こちら、やはり政治家としての「説明責任」が求められるわけです。

事務所の秘書だったり、スタッフに語らせるのではなく、本人が出てきて、本人の口でしっかりと語ってほしいと思います。

© CBCテレビ