鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備を巡り、防衛省への市有地売却は裁量権を逸脱しており違法で価格も不適正として市民29人が19日、八板俊輔市長と国に2億3430万円の損害賠償を請求するよう市に求める住民訴訟を鹿児島地裁に起こした。
訴状などによると、八板市長は2022年8月の住民説明会で「(市有地を)売るということは考えていない」と明言。しかし11月に国と売買契約を締結しており、「裁量権の逸脱・乱用で違法。説明も議論も極めて不足している」とした。
売却価格も問題視した。国が19年、土地の大部分を所有していた地権者と売買合意した160億円は、評価額の8倍だと主張。一方、市は22年11月、旧馬毛島小中学校跡地を評価額の105%の3370万円、下西校区の自衛隊員宿舎用地を142%の2530万円で売却しており、不動産価格が高騰している種子島の取引価格を正当に評価していないと指摘した。馬毛島の3市道を廃止した処分の無効確認も求めた。
提訴後、記者会見した原告団長の和田香穂里さん(59)は「馬毛島の基地計画は性急に強引に進められている。多くの人に知ってほしい」と訴えた。
西之表市は「訴状が届いておらず、内容も確認できていない」としている。