「映像110番」捜査に効果 本格運用8カ月 県警、294件受理

不審者を撮影する職員=高岡市の福岡あおぞらこども園

  ●通報者が撮影、警察に送信

 110番通報者にスマートフォンなどで撮影した映像や画像を送ってもらう富山県警の「110番映像通報システム」が初動捜査に役立っている。今年4月に本格運用が始まってから11月までに受け取ったケースは294件を数え、行方不明者の捜索や山岳遭難者の救助、刑事事件の捜査など幅広い分野で効果を発揮している。担当者は「システムの啓発に努め、積極的に活用したい」と話した。

 110番映像通報システムは昨年10月から半年間の試行期間を経て、4月1日から全ての都道府県警で本格運用がスタートした。

 富山県警通信指令課によると、4~11月に受け取った294件の内訳は動画15件、画像279件だった。行方不明になった高齢者の顔写真を家族から提供してもらって捜索に役立てたり、山岳遭難事故の現場写真を送ってもらって迅速な救助につながったりしたケースがあった。車の当て逃げ事故で逃走車両の特定につながった事例もあった。

 システムでは通報者がスマホやタブレット端末で、専用サイトに接続し、映像や画像を送る。110番通報を受けた警察官が必要と判断した場合、通報者にショートメッセージを送る。

  ●現場を正確に把握

 担当者は事故や事件が起きた際、緊張や動揺から状況を言葉でうまく説明できないこともあるとし「現場の状況などを正確に把握するのに役立つ」と話した。

 県警は多くの県民にこのシステムを知ってもらおうと普及啓発に努めている。ユーチューブ公式アカウントで解説動画を公開したほか、防犯訓練などで実際に体験してもらっている。

  ●職員、不審者を撮影 高岡のこども園で訓練

 19日は高岡署と高岡市の福岡あおぞらこども園の防犯訓練が同園で開かれ、職員がシステムを活用した対策を実践し万一に備えた。

 刃物を持った不審者が敷地内をうろつく想定で、職員は役割分担して園児約50人を避難させ、入り口を施錠して110番通報した。通信指令課の警察官がシステムを活用して画像の送信を依頼し、職員が指示に従って犯人を撮影した写真を送信した。駆けつけた署員に状況や不審者の特徴も伝えた。

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