紅白初出場の「すとぷり」とは? メンバーるぅとさんは栃木県出身 楽曲制作のこだわり、地元での思い出は

若者を中心に高い人気を誇る「すとぷり」メンバーのるぅと(ⓒSTPR Inc.)

 大みそかのNHK第74回紅白歌合戦に初出場するエンタメユニット「すとぷり」の最年少メンバーで、栃木県出身のるぅとさん(25)が下野新聞社のインタビューに応じた。同ユニットはユーチューブのチャンネル登録者数約236万人(18日時点)、全国アリーナツアーで35万人を動員するなど若者を中心に高い人気を誇る。作詞や作曲などを手掛ける立場から、楽曲制作のこだわりや、紅白への思いを語った。

-作詞や作曲、編曲まで担当し「すとぷりの音楽クリエイター」として活躍しています。音楽にはいつ頃から興味がありましたか。

 「兄弟がピアノを習っていたので、物心ついた時には自分もピアノを習っていました。中学生のころ、父のアコースティックギターを借りて始めてみたのが、本格的に興味を持ったタイミングかもしれません。高校1年では軽音楽部に入り、徐々に音楽に慣れ親しんでいきました」

 「中学2年ごろに『歌ってみた』動画を知り、ボーカロイドの曲を聴くようになりました。そこからボーカロイドに興味を持ちました。勉強して、無料のソフトを何とか使い、高校2年で自分で歌った動画投稿にチャレンジしました。初めて投稿した曲は、かいりきベアさんの『セイデンキニンゲン』です」

 「ミックスを含めて自分なりに勉強した成果がどう評価されるか不安でした。当時は、今と比べたらごく少数の方にしか聴いてもらえませんでした。それでも『良かったです!』と、コメントをいただけたのがとてもうれしかったのを、今でも鮮明に覚えています」

 -音楽作りのこだわりや思いなど教えてください。

 「『僕にしか作ることができない曲を作りたい』というのが第一にあります。すとぷりに今起きていることや、応援してくれるリスナーさん(すとぷりファンの総称)と僕たちの関係を、そのまま楽曲として反映させて表現したいと常に考えています。そして、リスナーさんと直接会えるライブで、リスナーさんの反応を見ながら、自分がうまく表現できていたかどうかを答え合わせするような感覚です」

 「例えば、4thフルアルバム『Here We Go!!』に収録されている『ヨアケイロ』という曲は、その当時の僕たちの『前を向いて進んでいこう、これから先もリスナーさんと一緒に進んでいくんだ』という思いを表現しました。ライブでこの曲を歌っている時に感じるリスナーさんとの一体感は本当に好きです。あの一体感は言葉にすることができません」

 -すとぷりメンバーとなった経緯や、クリエイターになろうと思ったきっかけなどを教えてください。

 「配信の活動を始めてから約1年がたったころ、なーくん(リーダーのななもり。)と初めて話す機会があり、『すとぷり』のメンバーとしてグループで活動をしてみないかというお話をもらいました。純粋に『すごいな!面白そうだな!』と感じたので、『やりたいです!』と即答しました。そこから、すとぷりとしての活動がスタートしました」

 「クリエイターになろうと思ったきっかけですが、最初は本当に試行錯誤しながら、『歌ってみた』動画を自分で作って投稿していく過程で、いろいろな知識が身につき、さまざまなことを学びました。『自分の行動が、誰かに喜んでもらえる』という実感を得られたのがとてもうれしく、配信者として活動していくことになりました。そして、配信者として活動を続けていく中で、自分のメロディーと歌詞で、みんなの心を動かしたいという気持ちが芽生えて、オリジナル曲を作ってみたいと思うようになりました」

 -すとぷりは活動開始から7周年を迎えました。最年少メンバーとして活動で心がけることはありますか。

 「グループの中に年齢の壁が全くないので、分け隔てなく接していますし、メンバーもそう接してくれます。最年少だからというのは関係なく活動で心がけているのは、常に『リスナーさんに喜んでもらえるように』ということです。ただ、メンバーとご飯に行ったらおごってもらえるように頑張っています(笑)」

 -気持ちの変化やグループでの役割などは変わりましたか。

 「リスナーさんの声に応えたいという姿勢は変わらずに活動しているつもりです。新しく応援してくださるリスナーさんや、昔から変わらず応援してくださるリスナーさんもいらっしゃいます。活動の規模が大きくなっていくと、中には昔よりも僕たちとの距離を遠く感じてしまうリスナーさんもいらっしゃいます。だからこそ、どんなに活動の幅が広がったとしても、僕はよりリスナーさんの心に寄り添った行動を大切にしたいと思うようになりました」

 -今年はすとぷり史上最大規模の全国アリーナツアーを成功させました。また、初のファンミーティングツアーも大好評だったと聞きます。ライブ活動で大事にしていることはありますか。

 「僕たちの活動は、リスナーさんのこうしてほしいという声を受け取って、その声に応えていくのを積み重ねてきました。もともとライブ活動自体も『ライブをしてほしい!』という声に応える形で実現してきました。そして、ライブ活動を通じてリスナーさんの期待に応えることで、メンバー間もリスナーさんとの結束もより強固になっていると思います」

 「また、『思い出に残るライブにしたい』といつも思っています。ライブの告知をどこかで見て、チケットを予約して、自分の予定を空け、会場に来るために交通手段を調べ、宿泊先も予約するなど、時間やお金を費やしてもらっています。さらにライブ当日の1日を僕たちのために使ってくださるということだと思っています」

 「だからこそ、告知を見たその時からライブが終わって帰宅してその日が終わる瞬間までが、リスナーさんにとって宝物になるような思い出になってほしいですし、僕はいつも、そんな思い出をつくれたらいいなと思っています」

 -ユーチューブでの配信など、交流サイト(SNS)は欠かせないツールです。どんなことを意識して活用していますか。

 「僕は常にリスナーさんと近い距離にいたいと思っているので、SNSを使ってリスナーさんと触れ合うような活動というか、心の近さを意識しています。僕が発信するのもそうですが、リスナーさんの声を受け取れるのもSNSなので。リスナーさんとの意思疎通を図っているというか、そういった活用の仕方をしています」

 -地元・栃木県の思い出の場所や、エピソードがあれば教えてください。

 「小さい時から、買い物や映画、外食などでベルモール(宇都宮市)によく行っていました。なぜか道路沿いにアルパカがいて『かわいいなあ』と思って見ていたのをよく覚えています。僕にとって思い出の場所です(笑)」

 「すとぷりでは、最初のCDを出した時から、CDを販売していただける全ての店舗さんにメンバー全員のサインを書いた色紙を送っているのですが、その送り先にベルモールのCD店を見つけた時に『あっ!』とうれしい気持ちになりました(笑)」

 -紅白への意気込みは。

 「インターネットで活動を始めた僕たちが、まさかこんな夢にも思わなかったすてきな舞台に立てるなんて今でも信じられなくて、とてもうれしくて、とても緊張しています。リスナーさんの笑顔と声援が、当日絶対に僕たちの力になるのでいつも以上に応援してくれるとうれしいです。よろしくお願いします!」

◆すとぷり◆

 2016年結成の6人組エンタメユニット。名称は「Strawberry Prince(ストロベリープリンス)」の略。ユーチューブ、動画配信サイト「ツイキャス」を中心に、楽曲配信やウェブ上の生放送、ステージライブなど多岐にわたって活動する。各メンバーの姿は主にイラストキャラクターで表現される。「るぅとちゃんねる」の登録者数は89万8千人(18日時点)。

ライブの一場面。「宝物の思い出」となるよう、全力のパフォーマンスを見せる(ⓒSTPR Inc.)

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