嘉手納基地でパラシュート降下訓練を強行 米軍が3年半ぶり 周辺自治体と沖縄県は中止求める中

夜間のパラシュート降下訓練で、米軍嘉手納基地内に降りる米兵=19日午後7時56分、嘉手納町役場から(竹尾智勇撮影)

 【中部】米軍は19日夜、米空軍嘉手納基地でパラシュート降下訓練を実施した。基地周辺自治体と県が訓練中止を求める中、2020年7月以来3年5カ月ぶりに訓練を強行した。沖縄防衛局によると、米軍は「例外的」に基地を使用した。嘉手納での訓練は、1996年に日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、読谷補助飛行場から伊江島補助飛行場に移転されて今回で15回目。

 米軍は19日午後7時50分ごろ、訓練を開始。嘉手納基地所属のMC130特殊作戦機から少なくとも米兵4人がパラシュートで基地滑走路に降下した。同機は午後8時45分ごろ着陸した。

 SACO最終報告では、降下訓練は伊江島補助飛行場で実施するが、米軍側は嘉手納基地での訓練を「例外的」と位置付ける。その理由に「伊江島補助飛行場は、滑走路の整備状態が悪く、MC130の離着陸ができない状況」と主張している。

 例外規定は、SACO合意から11年後の2007年に日米合同委員会で合意。「自然条件などの制約によって伊江島の使用が困難な例外的な場合、定期的でない、小規模の訓練は嘉手納基地を使用できる」としている。県基地対策課によると、20年も例外的に使用。伊江島の天候が理由だったという。

 19日の訓練は嘉手納町役場屋上から、基地周辺自治体で構成する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)」の担当者が目視で確認。三連協会長の桑江朝千夫沖縄市長は「住民の安全と生活を守る立場から(訓練の)容認はできない」と文書で答えた。

 玉城デニー知事は「大変遺憾で、日米両政府への抗議も含め対応を検討する」とコメントした。(中部報道部・砂川孫優)

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