歴史のまち 次世代へ 国が維持向上計画認定 建物や伝統行事PRに力 茨城・土浦市

国指定重要文化財の旧県立土浦中学校本館=土浦市真鍋

茨城県土浦市の「歴史的風致維持向上計画」が19日、歴史まちづくり法に基づく国の認定を受けた。市全域が対象で、計画期間は2024~33年度の10年間。重点区域として、中心市街地に近い旧県立土浦中学校本館(国指定重要文化財)や上高津貝塚(国指定史跡)、土浦城址(じょうし)の周辺を設定した。市は歴史的な建造物や伝統行事の維持向上とPRに力を入れる。県内で同計画が認定されるのは桜川、水戸に次いで3市目で、全国では93市町となった。

市都市計画課によると、「歴史的風致」は建造物と活動がセットで、50年以上続いているものが対象となる。認定により、建造物の取得や修理に関する国の補助金が受けられるほか、道路の美装化や無電柱化の補助率がかさ上げされるといった支援がある。古い街並みを抱えた都市が認定を受けるケースが多い。

市の計画は「霞ケ浦と筑波山に育まれた信仰と祭り」「水郷の遊覧都市と海軍航空隊の記憶」など五つをテーマに、10個の歴史的風致と22事業を設定した。重点区域は約615ヘクタール。具体的な事業として、土浦城址「二の丸壕」の復元整備、上高津貝塚の展示施設改装、サイクリング環境整備などを挙げている。

土浦市は近隣に霞ケ浦や筑波山などの自然を抱え、歴史を反映した建造物や伝統行事、食文化といった多様な文化資源が市内全域に分布する。

認定を受け、市は歴史遺産の保存や活用、承継のほか、歴史的風致を活用した交流人口の拡大を図る。

この日、国土交通省で認定式があった。安藤真理子市長が認定証を受け取り、「歴史的な遺産を次世代に引き継ぎ、守り育てることが使命。計画を推進し、市をより魅力的な場所にしていく」とコメントした。

国土交通省の石橋林太郎政務官(左)から認定証を受け取る土浦市の安藤真理子市長=同省(市提供)

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