栗栖川の診療所、年内で閉院 公営に切り替え2月以降に再開へ、和歌山・田辺市

12月末で閉院する松尾医院。市は暫定的に公設公営に切り替え、診療を継続する方針(和歌山県田辺市中辺路町栗栖川で)

 和歌山県田辺市中辺路町栗栖川にある公設民営の診療所「松尾医院」が、12月末で閉院する。市は地域医療を守るため、運営方式を暫定的に公設公営に切り替え、来年2月ごろから診療を再開する方針。開会中の12月市議会に関連予算案を提案している。

 市によると、診療所は旧中辺路町が整備。医師を招聘(しょうへい)し、運営を任せる形で1996年に開院した。月~土曜(水、土曜は午前のみ)に診療している。

 今年1月、医師から市に対して、都合により閉院したいとの申し出があった。これを受け、診療所運営を引き継いでくれる医師を探していたが、現時点で見つかっていないという。

 そこで市は、後任が決まるまでの暫定措置として公設公営に切り替え、他の医療機関から医師に通ってもらう形で地域医療を継続する方針を決めた。

 診療は週2日、午前中のみとなる予定。必要な手続きに時間がかかるため、最短でも2月以降の再開になる見通しという。

 12月市議会の一般質問では、宮井章議員(無)が今後の医師確保について市当局の見解を尋ねた。

 古久保宏幸保健福祉部長は「地方の医師不足が深刻化している中、来年4月からは厚生労働省による医師の働き方改革が始まり、他の医療機関からの派遣はこれまで以上に難しくなることが想定される。引き続き県医務課へ働きかけるとともに、情報提供や人的ネットワークを活用して医師確保に努めたい」と答えた。

 松尾医院の閉院により、旧中辺路町内の内科診療所は当面、公設民営の近野診療所(近露)のみとなる。

 旧中辺路町以外の市内には現在、公設診療所(国保直営を含む)が10カ所ある。内訳は旧市内4カ所、旧龍神村3カ所、旧大塔村2カ所、旧本宮町1カ所。

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