関電、火力発電所建設を中止 和歌山市で約30年前から計画、電力需要低迷で

関西電力が建設中止を発表した、和歌山市の火力発電所の計画地

 関西電力は19日、和歌山市湊浜ノ坪の埋め立て地(約94万6千平方メートル)に約30年前から検討していた「液化天然ガス(LNG)火力発電所」(定格出力370万キロワット)建設計画の中止を決定し、発表した。計画地の一部は、同社と県、和歌山市で企業誘致に取り組むことになり、岸本周平知事は「脱炭素に資する企業を誘致したい」と歓迎した。

 同社によると1990年代、電力需要が伸びると予測し、95年に発電所設置を検討。しかし、電力需要の低迷のため2004年から工事を中断していた。本年度の「供給計画」でも33年度以降の運転開始を示していたが、電気事業を取り巻く環境を踏まえると計画を推進できる見通しが得られないと判断した。

 同社は土地の一部、約15万平方メートルについて26年度をめどに、土地造成、道路、配管などを整備した上で、企業を誘致したいとしている。

 同社の高西一光執行役常務が同日、県庁の岸本知事を訪問し、一連の内容を報告した。

 会談後、岸本知事は報道陣の取材に応え「和歌山県にとってはタイムリーで、ありがたい。LNGとはいえ、火力発電所なので脱炭素にはマイナスだった。県は脱炭素先進県を目指しており、できる限り脱炭素に資する企業の誘致をしたい。今回の見直しは歓迎したい」と話した。

 同社は早ければ、来年早々にも、県と和歌山市と企業誘致に向けた協議会を設置したい考えという。

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