ローレンス・ストロール、F1チームを手放す噂を否定「これらのビジネスを長期的に経営するつもりだ」

 アストンマーティンの会長を務めるローレンス・ストロールは、アストンマーティンF1チームの所有権を手放すのではないかといういかなるほのめかしも強く否定した。

 先月、ストロールとその関係者がF1から撤退するといううわさが飛び交い始めたが、これは民間投資会社『Arctos Partners』がチームに少額の出資を行ったことに端を発したデマだった。アストンマーティンは後に、Arctos Partnersの出資は戦略的なものであり、同社はアストンマーティンF1チームにリーチとブランドを強化するための人脈と、広範なリソースをもたらすことを明らかにした。

 ストロールは、アストンマーティンとArctos Partnersとの提携の理由について次のように説明した。

「彼らがビジネスにもたらすものを考慮すると、少数株主として受け入れることは非常に理にかなっていた」

「彼らは特にアメリカで、他のスポーツチームへの投資を行って価値を高めている。スポンサーシップやマーケティングなどを通じて、財政面での相乗効果や商業的機会をともに実現できるはずだ」

「それが彼らに少数株式を買わせた動機だった。素晴らしい評判を持ち、アメリカに本拠を置いている。私が持つ非常に長期的な将来のビジョンと一致する、大変優れた人々だ」

 それでもストロールがF1を去る可能性についてのうわさが消えないことから、彼はチームを所有するAMRホールディングスGPに行った投資に関して、きっぱりと事実関係を明確にせざるを得なくなった。今週行われた『New York Times』のインタビューでストロールは、アストンマーティンに行った莫大な投資について触れ、それが彼のチームに対する揺るぎない献身と、強固な基盤の上にタイトルを獲得できるチームを構築するという決意の証になっていると示唆した。

「その憶測がどこから出てきたのか分からない」とストロールは語った。

「最近ひとつかふたつのメディアで読んだことがある」

「もしビジネスをやめるつもりなら、数億ポンド(約数百億円)を投じて新たに最高のF1キャンパスを建てたり、優秀な人材をさらに400人雇用したりしないだろう。私は自身のコミットメントを通して証明してきたし、そのことが事実とかけ離れているなどあり得ない。私は非常に長い間、このチームの筆頭株主でなくなることに関心など持っていなかったし、それはアストンマーティン・ラゴンダについても同様だった」

「私はこれらのビジネスを長年にわたって経営するつもりだ。私はどちらにおいても旅の始まりにいる」

シルバーストン・サーキット近郊に誕生したアストンマーティンF1のファクトリー

 Arctos Partnersへの少数株式の売却については驚いた人々もいたが、ストロールはこれは一度限りの取り決めだったと主張した。またアストンマーティンのタイトルパートナーであるアラムコが、契約条件にもとづいてチームの株式の10%を取得する可能性はあるものの、ストロールは追加の投資を求める計画は立てていない。

「それは事実だが、我々はもう投資を受け付けていない」

「私は常に大株主であり続けたいと考えている。それは決して変わらないだろう。私が決してないと言う時は、いつかはということはあるかもしれないが、可能であればこれから10年以内は確実に変わらないということだ。願わくばもっと長くしたいものだ」

「私は日に日に若くなるわけではない。より若い気分ではいるが、若くはならない。だが私はどこへも行かない」

2023年F1第4戦アゼルバイジャンGP ローレンス・ストロール&ランス・ストロール(アストンマーティン)

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