高松農高生が育てた品種 最高賞に 全国お米甲子園、肥料使用抑える

最高金賞を獲得し、表彰状などを手に笑顔を見せる高松農業高の3年生

 全国の高校生が学校で栽培した米のおいしさを競う「全国農業高校お米甲子園2023」で、高松農業高(岡山市北区高松原古才)の生徒が育てた品種「にこまる」が最高賞の最高金賞(1点)を獲得した。生徒たちは「力を合わせて作った米が評価され、うれしい」と喜んでいる。

 お米甲子園は米・食味鑑定士協会(大阪)などが主催し、25回目の今年は76校が201点を出品。今月2日、成分測定などの審査を通過した15校15点の最終審査が新潟県で行われ、同高は食味鑑定士による実食審査で最多票を獲得した。次点の金賞(4点)には過去4回選ばれたが、出場11回目で初の最高賞となった。

 同高では農業科学科作物専攻の2、3年生が授業の一環として、実習用の水田(12カ所計約1.8ヘクタール)で米を育てており、今年は20人が挑んだ。特徴は田植え前の「元肥」は行わないなど肥料の使用量を抑え、稲本来の力を引き出す「への字型」と呼ばれる栽培方法を採用している点。米はタンパク質が高すぎると食味が低下する。肥料を抑えることでタンパク質の元となる肥料(窒素)が残らずおいしい米に仕上がり、低コストで環境負荷の少ない稲作にもつながるという。

 受賞米は10月の校内イベントで販売し、すぐに完売した。3年原昊佑さん(18)は「綿密な栽培計画を立て、天候もにらみながらの作業は農業経営の重要なスキルであり、確かな学びとなった。悲願の最高賞が得られ、達成感でいっぱい」と話した。

 大会にはプレゼンテーション部門もあり、6校が出場した。瀬戸南高(岡山市東区瀬戸町沖)の生物生産科2年生4人が、土をかき混ぜ雑草の発生を防ぐ「多数回中耕除草」で無肥料・無農薬の稲作に挑んだことを発表。食味値などをポイント化して販売するEC(電子商取引)サイトの構築も提案し、最高賞のグランプリに輝いた。

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