北大阪急行の南北線延伸線が2024年3月23日に開業します。現在の終点である千里中央から箕面市の中心部へ向かう約2.5kmの路線が完成し、新たに「箕面船場阪大前(みのおせんばはんだいまえ)」「箕面萱野(みのおかやの)」の2駅が設置されます。今月19日、新駅の1つ「箕面船場阪大前」が報道公開されました。
駅は地下1階が改札階(改札は1箇所のみ)、地下3階がホーム階となっており、階段のほかエレベーターやエスカレーターなどの昇降施設を備えます。ホームは10両編成に対応した延長約200メートルの島式ホームで、すでに可動式ホーム柵が設置されていました。
報道公開時点では改札などは設置されていませんでしたが、内装などの建築設備工事は完了しており、同駅のデザイン的な特徴である壁面や天井などが確認できました。駅名標や案内サインも一部は取り付けられています。
授乳室やトイレなど使いやすい設備がコンパクトにまとまる
北大阪急行の担当者によりますと、新駅「箕面船場阪大前」の大きな特徴は2つ。1つは改札口からエレベーター、昇降階段、授乳室、トイレといった設備がコンパクトにまとめられており、地下駅としては動線が分かりやすいこと。記者個人の印象としては、改札階の壁面に授乳室やトイレなどが並んでいるのが印象的でした。
もう1つの注目ポイントはトイレです。
改札内には多機能トイレが2箇所、男性用・女性用トイレがそれぞれ1箇所ずつ設置されています。新駅は建築設計標準の考え方に基づいて設計されており、これまでは多機能トイレに集中させていたオストメイト用の設備やおむつ替えの設備を一般用のトイレのブースにも分散させているとのことです。
変わる箕面のまち、新駅周辺の様子は……
新駅「箕面船場阪大前」周辺に目を向けてみましょう。駅の東側では2021年に大阪大学箕尾キャンパスが開校。船場広場(メインデッキ)や船場生涯学習センター、船場図書館、それに文化芸能劇場などが先行してオープンしており、新しく文化的なまちの様相を呈しています。
今後も新御堂筋を東西につなぐ歩行者デッキ(来年1月10日供用予定)や憩いの場・交流の場となる船場広場(駅前広場)、箕面船場阪大ヘルスケア総合センター(仮称)などがオープン予定。箕面船場では、まさに新駅を中心とした新しいまちづくりが進められているのです。
箕面市は西側に阪急箕面線が、東側では駅こそ設置されていないものの大阪モノレールが端部をかすめるように走っています。
しかしながら市の中心部に鉄道駅はなく、これまではバスや自動車での移動がメインの鉄道空白地帯でした。市の担当者は、記者らの質問に対し「これからはみんなが目の前の鉄道に乗れる。高齢者も含め色んな方が移動しやすいまちになる」と話します。
開業のあかつきには、市中心部から乗り入れ先の御堂筋線沿線や日本の大動脈である東海道・山陽新幹線の新大阪駅にも前以上に気軽に出かけられるように。バス路線も現在の千里中央駅を中心としたものから箕面船場阪大前駅、箕面萱野駅を中心としたものに再編され、市内移動や東西移動の利便性も高まるということで、来年3月の開業に向けて期待感が高まっています。
記事:一橋正浩