いよいよ完成間近のピースウィング広島 サカスタとしては国内初採用の構造! ソーラーパネルの設置で環境へ配慮! 特徴的な屋根を徹底プレゼン!【アナたにプレゼン・テレビ派】 

【動画】新サッカースタジアム ピースウイング広島の「屋根」を大解剖【アナたにプレゼン・テレビ派】

広島テレビのアナウンサーが、気になるテーマを自ら取材して、お伝えする『アナたにプレゼン』。今回プレゼンするのは、木村和美アナウンサー。「ピースウイング広島」の屋根についてお伝えしていきます。

12月28日の完成に向けて、スタジアム本体は、ほぼできあがっています。スタジアムを外から見たとき、人際目を引くのが屋根です。こんなに大きく、変わった形の屋根の特徴は、軽やかで浮遊感があり、通称「希望の翼」。広島の新しいシンボルになることを目指して、デザインされました。

この屋根、矢を空に放っているような「張弦梁(ちょうげんばり)構造」という、特殊な建築方法で作られました。屋根を支える「アーチ」に、弓矢のような「ケーブル」、そして「短い柱」を組み合わせた構造形式になっています。

スタジアム内から見上げると、緩やかな弧を描いているのが、屋根を支える「アーチ」です。まっすぐ横に伸びているのが、弓矢の「ケーブル」で、アーチとケーブルの間にある3本の柱が、「短い柱」です。弓矢を張るときに、弦を引っ張ると、木の部分がしなります。その力で屋根を押し上げています。矢を放つ弓のような構造は、まさにサンフレッチェのチーム名の由来になっている、毛利元就の「三矢の訓」がモチーフになっています。

この構造は、主に高さが数十メートルから100メートルを超える建築物で用いられるんですが、最大のメリットは正解は、この構造のおかげで柱が通常の構造と比べて格段に少なくてすむんです!柱と柱の間がおよそ135メートルと広くなっているんですが、柱が少ないと言うことは、「観戦しやすい」ということですよね。視界が柱で妨げられることないため、臨場感のあるサッカーを楽しめる大空間を作ることができます。担当者の方によると、この「張弦梁構造」はアリーナでは採用事例がありますが、国内のサッカースタジアムに使われるのは「初めて」とのことでした。

ただ、張弦梁構造で作られた、シンボルの「屋根」ですが、かなり大きいので、工事の大変さもあります。通常の建築工事は、下から上に屋根部分を組み立てて、その高い場所で照明やスピーカーなどの取り付けを行います。ただ、このスタジアムの屋根は、高さが42メートルあるため、先に地上で取り付け作業をしました。そうすることで、破損や落下のリスクが低くなってより安全で確実に、かつ効率的に作業ができるということです。

また、下でパーツを組み合わせるとなると、かなり重たいパーツが出来上がります。通常、建物建築には使われることのほとんどない、広島では10年に1回使われるかどうか、という大規模な500tクレーンが2基導入されました。さらに、下で組み立てるとなると、溶接をする人や配線を担当する人など それぞれの担当の方が現場に必要になります。屋根の工事だけで、なんと2万人の方が工事に携わったということです。

さらに、屋根は、エコスタジアムという観点でも大きな役割があります。この屋根と、屋根の南東の部分に、ソーラーパネルが480枚設置されています。

ここで発電された電力は、スタジアムの照明などに利用されますが、施設で使用する電力量の、およそ12%を賄うことができます。また、スタジアムのフィールド、およそ23面分の杉林が吸収する、二酸化炭素の削減効果があるということです。そして、一部の電気を、スタジアム内の蓄電池に充電しておくことで、災害時などの停電の時に、利用することができます。このように、デザイン面からも、環境へ配慮した面からも、目が離せないピースイング広島。まだ、外からしか見ることはできませんが、通りかかるたびににワクワクするような、そんな場所になっていたらいいなと思います。

【テレビ派 2023年12月8日放送】

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