【裏金疑惑】自民党派閥政治資金パーティーめぐる問題 静岡県内にも波紋広がる中…今後の捜査のポイントは? 元東京地検特捜部副部長・若狭弁護士に聞く

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、自民党の安倍派と二階派に強制捜査が入りました。静岡県内にも波紋を広げている裏金疑惑。元東京地検特捜部副部長の若狭さんに今後の捜査のポイントを聞きます。

自民党の安倍派と二階派の事務所で行われた東京地検特捜部による“異例の強制捜査”。派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、安倍派は所属議員の大半が収支報告書に記載せずキックバックを受けていたとみられ、総額は直近5年間で約5億円にのぼるとみられています。

裏金疑惑は県内の安倍派議員にも。先週、自ら140万円のキックバックがあったことを認めた、比例東海ブロック選出で静岡3区の宮沢博行議員。収支報告書への不記載について「派閥からの指示だった」と暴露しました。20日、磐田市にある宮沢議員の事務所は…

(記者)

「磐田市にある宮沢事務所です。午前中は来客にスタッフが対応していましたが、本人も立ち寄らず、静かなままです」

大きな動きはなく、本人も事務所に姿を見せませんでした。

一方、1000万円以下のキックバックを受けていたとみられる、比例東海ブロック選出で静岡8区の塩谷立座長。いまだ「精査中」との回答し、詳しい説明を避け続けています。取材に対し、20日、塩谷座長の事務所は「重大に受け止め、事案の解決に真摯に対応していく」とコメントしています。

裏金疑惑をめぐっては、二階派もキックバックについては派閥側と議員側、双方の収支報告書に記載があるものの、直近5年間でノルマを超えた収入1億円あまりを記載していなかったとみられています。

(スタジオ解説)

元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝さんに詳しく解説してもらいます。

19日、東京地検特捜部は安倍派、二階派の事務所へ家宅捜索を行いました。これまでに派閥の会計責任者などへの任意の聴取、そして13日の国会閉会後には安倍派議員への任意の聴取を行い、19日の強制捜査となりました。

①いま捜査はどういう段階にあるんでしょうか?

(若狭弁護士)

マラソンで言えば折り返し地点。捜索をして得られた証拠物をよく分析し、これからは政治家の供述調書を作成していく。

②捜査の狙い証拠品とは、具体的に?

(若狭弁護士)

会計責任者、事務局の刑事責任は追及できるが、政治家にしかるべき責任を問うために、会計責任者と“収支報告書に記載しない”と示し合わせた、政治家からの指示が必要。共謀をあらわす証拠を固めていく。

そして県内にも安倍派と二階派の議員がいます。まずは安倍派の2人。塩谷座長は、これまでの取材に対し、「精査中」を繰り返していますが、1000万円以下のキックバックを受けていたと見られています。そして、宮沢議員はキックバックが3年間で140万円、派閥からの指示で収支報告書に記載しなかったと明言しています。

③塩谷座長については精査中という回答を繰り返していますが?

(若狭弁護士)

対応としてはよくない。塩谷座長は「キックバックがあった」と認めて、数時間後に撤回するような、態度がブレている。時間が経ったにもかかわらず、まだ「精査中」と言っているということは、何らかの怪しいことがあるのではとみられてします。自分で説明・公表することが大事。

そして二階派。細野議員は、ノルマもあり、キックバックもあったが、収支報告書に記載し適正に処理していると明言。勝俣議員は、ノルマやキックバックについて「あった、なかった」か明言していませんが、適正に処理していると回答しています。また若林議員は、販売目標はあったが、販売できなかったため、キックバックもないと答えています。

④今回、二階派に強制捜査に入ったのは?

(若狭弁護士)

特捜部としては、二階派の政治家の刑事責任の追及ができるという見通しが立ってきている。強制捜査に入るということは、ある程度めどが立ってきているということ。

⑤東京地検特捜部の捜査、最終的な狙いは?

(若狭弁護士)

最終的な狙いは、二階派も派閥側の政治家の責任を追及するということ。

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